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» 2008年06月05日 00時00分 公開

情報マネジメント用語辞典:イノベーション(いのべーしょん)

innovation

[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 (長期的な)景気変動の原動力で、社会を発展・活性化させる、経済・経営上の“新しいやり方”のこと。「技術革新」と訳されることが多いが技術の革新だけではなく、販路や提供方法(価格)、原料や部品の供給方法、組織や産業の構造を新しいやり方で行い、新しい価値を作り出すことが含まれる。「経営革新」「刷新」「工夫」「新機軸」「創新」とも訳される。

 一般に経済学者のヨセフ・A・シュンペーター(Joseph Alois Schumpeter)が書いた博士論文(1911年)に登場する「新結合=neuer kombinationen」に由来するとされる。同著では、新結合を経済資源の組み合わせ・結合の仕方によって新しいものやサービスができたり、技術開発が行われたりすることであるとして、「新製品の開発」「新生産方法の確立」「新市場の開拓」「新原材料・半製品の(供給源の)獲得」「新組織の構築」を挙げている。ただし、「新結合」という表現は当時、ドイツ語圏ではすでに使われていたようである。

 この論文は翌年に『Theorie der wirtschaftlichen Entwicklung』として発行(1926年に改訂)されるが、1934年に大幅に修正された英語版『The Theory of Economic Development』が刊行される。この英語版にイノベーションという語が登場する。

 英語版で拡張された理論を下敷きにした大著『Business Cycles』(1939年=初めから英語で書かれた)では、同じ生産関数における要素の数量変化(=新結合)ではなく、「新たな生産関数の設定」がイノベーションであると定義している。

 米国の経営学者・著述家 ピーター・ドラッカー(Peter F. Drucker)は1954年の著書『The Practice of Management』の中で「企業経営の2つの柱はイノベーションとマーケティングである」と指摘。さらに1985年の『Innovation and Entrepreneurship』では、イノベーションのための7つの機会として「予期せぬ成功と失敗を利用する」「ギャップを探す」「ニーズを見つける」「産業構造の変化を知る」「人口構造の変化に着目する」「認識の変化をとらえる」「新しい知識を活用する」を挙げている。

 また米国の社会学者エベレット・M・ロジャーズ(Everett M. Rogers)が最初に使った言葉で、まだ普及していない新しいモノやコトの意味でイノベーションという言葉を使い、1962年の著書『Diffusion of Innovations』で「イノベーションの普及理論」を発表、注目を集めた。

参考文献

▼『経済発展の理論――企業者利潤・資本・信用・利子および景気の回転に関する一研究』 シュムペーター=著/中山伊知郎、東畑精一=訳/岩波書店/1937年(『Theorie der wirtschaftlichen Entwicklung』の邦訳)

▼『景気循環論――資本主義過程の理論的・歴史的・統計的分析』 シュムペーター=著/金融経済研究所=訳/有斐閣/1958年(『Business Cycles: A Theoretical Historical and Statistical Analysis of the Capitalist Process』の邦訳)

▼『新訳 現代の経営〈上〉』 ピーター・F・ドラッカー著/上田惇生訳/ダイヤモンド社/1996年(『The Practice of Management』の邦訳新版)

▼『新訳 現代の経営〈下〉』 ピーター・F・ドラッカー著/上田惇生訳/ダイヤモンド社/1996年(『The Practice of Management』の邦訳新版)

▼『イノベーションと企業家精神――実践と原理』 P・F・ドラッカー=著/上田惇生、佐々木実智男=訳/ダイヤモンド社/1985年5月(『Innovation and Entrepreneurship』の邦訳)

▼『イノベーション普及学』 エベレット M.ロジャーズ著/青池慎一、宇野善康訳/産能大学出版部/1990年(『Diffusion of Innovations. Third Edition』の邦訳)


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