フロントローディング(ふろんとろーでぃんぐ)情報マネジメント用語辞典

front-loading / 作業前倒し

» 2008年08月19日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 製品製造やシステム開発のプロセスにおいて、初期工程(フロント)に重点を置いて集中的に労力・資源を投入して後工程で発生しそうな負荷(仕様変更など)を前倒することで、品質向上や納期短縮を図る活動をいう。

 一般的な製造業の開発プロセスでは、製品企画や設計の段階ではまず製品機能と製造原価の兼ね合いを中心に作業を行い、次に試作品で耐久性や堅牢性などの評価を行って、その結果を設計にフィードバックするという方法を取る。また、量産段階に入ってから部品のばらつきなどの問題で試作段階では分からなかった不良が発生したり、試作段階の不良が再発する場合があった。試作品による評価は時間と費用がかさむという問題があり、製造段階での不良発生は品質・費用・納期の面で大きな問題となる。

 そこで企画や開発の段階で製造ラインでの作りやすさを考慮したり、試作するまえにCADCAEでシミュレーションしたりして、設計品質を早期に向上することが考えられた。これがフロントローディングである。後工程のことを早期に考えるという意味で、源流管理コンカレント・エンジニアリングと密接に関係する。また、製品の企画・設計段階から出荷後の品質(市場品質)を考える品質工学もフロントローディングな取り組みといえる。

 製造業の取り組みに触発されて、ソフトウェア開発においてもフロントローディングの概念を取り込もうとする動きがある。広い意味では要求定義段階での徹底的な検討、プロトタイピング、テストファーストなどはフロントローディング開発の一例ということができるだろう。

参考文献

▼「自動車製品開発の新展開――フロント・ローディングによる能力構築競争」 藤本隆宏=著/『ビジネス レビュー』Vol.46, No.1./1998年


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