「ママ、どうしておうちにサーバーがあるの?」でMSが訴えたいこと「Windows Home Server 日本語版」発表

» 2008年08月20日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 マイクロソフトは8月20日、家庭用のサーバ製品「Windows Home Server 日本語版」(WHS)を8月30日に提供開始すると発表した。ファイルサーバ的に利用でき、デジカメ画像や動画、音楽など家庭で増えているデジタルデータを安全に保存、保護、共有できるという。

 Windows Home ServerはWindows Server 2003 R2ベースのサーバ製品。英語版は昨年9月に国内で発売済みだが、日本語版は今回が初めてだ。Windowsサーバのサービスパックに当たるPower Pack 1が適用されている。ベンダへのOEM提供のほか、DSP版でも販売される。エプソンダイレクト、デル、NEC、マウスコンピューターなどが対応サーバを出荷する予定だ。

マイクロソフトが作成したWHSの説明パンフレット「ママ、どうしておうちにサーバーがあるの?」。サブタイトルは「お子様が家庭用サーバーを理解するために」
WHSのメリットを絵本風に分かりやすく説明する

 WHSは「自宅に導入していただきたいサーバだ」(マイクロソフトのサーバープラットフォーム ビジネス本部 本部長 業務執行役員 五十嵐光喜氏)。主な機能としてはデジタルデータの保存、保護、共有がある。保存ではクライアントPCに個別に保存しているデジタルデータをWHSに一元的に保管可能。クライアントPCに「Windows Home Server Connector ソフトウェア」をインストールすれば、家庭のLANを通じてWHSにアクセスして、保存してあるデータを閲覧できる。対応するOSはVistaとXP。

 保護では、クライアントPCのデータの自動バックアップが利用できる。OSやアプリケーションのデータをイメージ化して毎日深夜にWHSにミラーリングで保存する。Windows Server 2003の「シングル・インスタンス・ストレージ」機能を活用した機能で、重複データの保存を避け、利用ストレージを節約できる。「ボリューム シャドウ コピー サービス」機能もあり、スナップショットを取得して、ある時点にデータを戻すことができる。

エプソンダイレクトが発表した「Endeavor SV110h」。WHSをプリインストールして出荷する

 WHSにはインターフェイスや容量が異なるストレージを1つの論理的なストレージにまとめる「ドライブエクステンダー」機能もある。WHSに外付けしたストレージを効率的に利用できるようになる。

 セキュリティ保護の機能もあり、WHSと同じLAN内にあるクライアントPCのファイアウォールやアンチウイルスソフトウェアの状態をチェックすることができる。

 共有機能では、WHSを通じてファイルを共有できることに加えて、WHSに含まれるIIS 6のWebサーバ機能を使って、外出先のWebブラウザからWHSにアクセスして共有フォルダを開くこともできる。ダイナミックDNS機能があり、動的なIPアドレスでも利用可能。WHSのユーザーは「xxx.homeserver.com」のドメインを無料で取得でき、このドメインにアクセスして共有フォルダを開く。リモートデスクトップ機能を使って、外出先から自宅のクライアントPCを操作する機能などもある。

 五十嵐氏はWHSのターゲットとして新技術に興味があるユーザーや、子供の写真の保護に困っている家庭ユーザー、自宅でビジネスを行っているユーザーなどを挙げた。特に2台以上のPCを所有する420万世帯がターゲットになるとして「パートナーと共にホームサーバ市場を開拓したい」と力を込めた。

 実際、増え続けるデジタルデータの保存や保護に困るという声は多く、WHSには一定のニーズがあるだろう。ただ、一方で手元のPCではなくインターネット上にデジタルデータを保管し、共有する動きもかなり広がってきた。マイクロソフト自身も無料のオンラインストレージサービス「Windows Live SkyDrive」を提供している。現在のニーズには応えられても、将来のニーズにWHSが応えられるかは確かではない。

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