金融庁は、6月24日に「内部統制報告制度に関するQ&A」を発表したが、実情はどうなのだろうか。SOX法コンサルタントである筆者から見た現実とのギャップを解説する。
去る6月24日に金融庁は、「内部統制報告制度に関するQ&A」について、新たな質問・回答(47問)を追加発表しました。「いまごろになって……」という声もありますが、参考になる点もあります。
Q&Aは2007年10月2日に20問が第一弾として公表され、今回問21から問67までの47問分が新たに公表されました。全体を分野別に分けると
について触れています。ほとんどの内容は、「実施基準」をよく読めば導き出せる範囲を超えていませんが、中には注目してもいいものがありますので、それらを抽出・抜粋して紹介・解説します。中でも専門家は、特に問67に注目しています。
委託業務、事業拠点、子会社の扱いは?
(問22) 「財務報告に係る内部統制の評価の対象となる委託業務」とは、具体的にはどのようなものか。
(答え抜粋) 例えば、取引の記帳、会計帳簿の作成などに係るコンピュータ処理を共同事務センターに委託する場合や、年金資産の運用管理を信託銀行に委託する場合などである。
この例を見ると、「委託業務が財務報告に直接関連したものに限定されていること」という意味がよく分かりますね。
(問27) 「財務報告に係る内部統制の評価の対象となる委託業務」とは、具体的にはどのようなものか。
(答え抜粋) 重要な事業拠点と事業の種類別セグメントの整合性が必ず求められるというものではなく、経営者は、企業の経営管理の実態に応じて事業拠点を識別すればよい。
事業拠点と事業の種類別セグメントは、縦・横のマトリクスの関係になっている場合があり、担当者としてはどうしてもその整合性を取りたくなってしまいます。それをしないと結局、事業拠点ごとの情報が抽出できないかもしれません。
(問31) 全社的な内部統制については、人材や組織的に比較的余裕がある親会社とそれ以外の事業拠点(子会社)では、対応に差が出ることが想定されるが、このような取り扱いは可能か。
(答え抜粋) 全社的な内部統制について、子会社に対して親会社と差異のある取り扱いを行うことも可能である。
実際、子会社には内部統制担当部門がなく、その「“全社的な内部統制”は子会社の社長しか分からない」という実情も多く、身の丈に合った扱いでよいというのは合理的です。
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