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» 2008年09月02日 00時00分 UPDATE

情報マネジメント用語辞典:ゴールダイレクテッドデザイン(ごーるだいれくてっどでざいん)

Goal-Directed design / 目標主導型設計

[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 インタラクションデザインの方法論の1つ。人間とのインタラクションを備える製品・サービスをデザインするに当たり、ユーザー調査から得られた事実データに基づいてユーザーのニーズとゴールに合致したソリューションデザインを生み出す方法である。

 製品開発――特に機能の詰め込みが可能なソフトウェアやデジタル機器の企画・開発をマーケティング主導あるいは技術主導で行うと、機能の肥大化・オーバースペック化を招きやすく、ユーザーにとって必ずしも使いやすいものにならない。ゴールダイレクテッドデザインは、マイクロソフトでVisual BASICを開発したアラン・クーパー(Alan Cooper)らが開発した方法論で、人間中心設計の観点から製品・サービスを使う人々のゴール(目的)に焦点を当て、それが達成できるデザインを行うことを指向する。

 手法・ツールとしてはフィールドワークやインタビューなどの調査技法、ペルソナ概念、シナリオベースデザインにインタラクションデザインの原則とパターンなどを用いる。「調査」「モデリング」「要件確定」「フレームワークの設定」「精緻化」「開発支援」の6段階のプロセスが定められており、デザイナー(インタラクションデザイナー、工業デザイナーなど)は調査段階から参加してユーザー視点で要件を確定し、これをデザインに落とし込む。

 「調査」ではフィールドワーク技法(行動観察、インタビュー)を使って製品・サービスのユーザーに関する質的データを取得する。ここでは競合製品・技術・市場・ブランドに関する調査、ステークホルダー(ユーザーや技術者など)とのインタビューなどを実施する。ユーザーの観察とインタビューは「振る舞いパターン」をもたらし、ここからユーザーのゴールやモチベーションに関するヒントを得る。

 「モデリング」では、調査結果を受けてドメインやユーザーのモデルを構築する。ドメインモデルは情報フローやワークフローなどを含み、ユーザーモデル(ペルソナ)はユーザーグループを代表する架空の人物モデルである。

 「要件確定」はシナリオベース・デザイン(ペルソナ/シナリオ法)を通じて、モデリングで作成した各種モデルを後述のデザインフレームワークを結び付けていく。ペルソナを登場人物とする物語=コンテキストシナリオを作成して、これを繰り返し改良することで分析を行う。この段階の出力が要件仕様となる。

 「フレームワークの設定」では前工程で作成したコンテキストシナリオ、およびインタラクションデザイン原則、インタラクションデザインパターンを駆使して、インタラクションフレームワークを構築する。これは論理的・大局的なデザイン構造となるもので、製品・サービスの全体的なコンセプトを示す。ここにキーパスシナリオ、チェックシナリオを適用して、具体的なインタラクションをデザインしていく。

 「精緻化」は前工程に続く形で、シナリオをさらに限定的に反復的検討して、ビジュアルデザインや表現、エクスペリエンスなどの細部を組み立てていく。

 最後の「開発支援」は、実装・構築を担当する開発チームなどを支援する工程として設置されているもので、技術的・スケジュール的な制約があっても製品・サービスの意味的・概念的な完成度を低下させないことが目的となる。

参考文献

▼『コンピュータは、むずかしすぎて使えない!』 アラン・クーパー=著/山形浩生=訳/翔泳社/2000年2月(『The Inmates are Running the Asylum』の邦訳)

▼『ユーザーインターフェースデザイン――Windows95時代のソフトウェアデザインを考える』 アラン・クーパー=著/テクニカルコア=訳/翔泳社/1996年5月(『About Face: The Essentials of User Interface Design』の邦訳)

▼『About face 3――インタラクションデザインの極意』 アラン・クーパー、ロバート・レイマン、デビッド・クローニン=著/長尾高弘=訳/アスキー・メディアワークス/2008年7月(『About Face 3: The Essentials of Interaction Design』の邦訳)


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