内田洋行、暗黙知を生かすエンタープライズサーチを発売Ajaxと仮想データ統合で高度なナレッジマネジメントを実現

» 2008年11月18日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 内田洋行とウチダスペクトラムは11月18日、エンタープライズサーチの新製品「SMART/InSight G2」を共同開発し、発売を開始すると発表した。従来、SMART/InSightシリーズはウチダスペクトラムが開発・販売を行ってきたが、エンタープライズサーチ市場の高まりによって内田洋行も販売を開始し、内田洋行グループ全体でエンタープライズサーチ事業を推進していくとした。

大久保氏写真 内田洋行 取締役専務執行役員 マーケティング本部長 大久保昇氏

 SMART/InSightシリーズは、内田洋行の子会社であるウチダスペクトラムが2005年から発売しているエンタープライズサーチ製品。いままで30プロジェクト以上の導入実績を持ち、積水化学では2〜3万人が利用している。2007年の売上高は3億5000万円程度。

 内田洋行 取締役専務執行役員 マーケティング本部長 大久保昇氏は、「従来のドキュメント検索は、ファイルサーバやLotusNotesを対象とした“部門内データ”を対象とすることが多かったが、いまや事業部や全社を対象としたナレッジマネジメントが中心になってきている。日本には文化的に暗黙知になっているものが多い。これを良質な形式知にする必要がある。現状のデータベースが社内に点在している状況ではこれを成しえない。強くなろうとしている企業は日本的な暗黙知をしっかりと管理することで、グローバルな競争を勝ち残れるはずだ」と説明した。

 新製品の「SMART/InSight G2」は、いままでウチダスペクトラムが中心となって行っていた開発に対して内田洋行も2008年春から開発要員を送り、共同で開発した。新たに「Ajax ポータルフレームワーク」「集合知形成フレームワーク」「仮想データ統合フレームワーク」の3つのフレームワークに既存機能を統合・整理したという。

 Ajax ポータルフレームワークは、Ajaxを用いることでGUIを自由にカスタマイズできるほか、各ユーザーが操作しやすいようにカスタマイズすることもできる機能。プルダウンで絞込み設定を選んだり、好みのウィジェットを表示させることもできる。集合知形成フレームワークは、多人数で作られる「集合知」の形成を支援するための機能。検索機能の保存と共有や、個人の検索履歴や操作履歴を保存・共有する機能も搭載することで、「集合知を醸成しやすくしている」(ウチダスペクトラム 代表取締役社長 町田潔氏)という。これらの履歴に対して、管理者はさまざまな切り口でトップ10ランキングを作成したりすることもできる。

画面イメージ写真 「SMART/InSight G2」の画面イメージ。AmazonやYahoo!の検索データも社内データと同じように検索結果に表示できる

 仮想データ統合フレームワークは、社内の各部門などに存在するさまざまな情報を仮想的に統合し、管理する機能。検索精度を向上させるためのメタデータ管理機能や、複数の情報や社外のインターネット上にある機能も社内データと同じように表示させることもできる。

 ライセンス価格は、インデックスデータが50Gバイト程度で年額720万円。買取の場合は3350万円。インデックスデータ500Gバイト程度であれば、2000人程度の企業まで利用可能。初年度10億円の売り上げを目指す。

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