“すべてコミコミ”で税別3990万円のディザスタリカバリ製品HPが中堅・中小企業向けディザスタリカバリ市場へ参入

» 2008年11月19日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 日本ヒューレット・パッカード(HP)は11月19日、中堅・中小企業向けに事業継続・災害対策(ディザスタリカバリ:DR)を実現するソリューションを提供すると発表した。日本HP マーケティング統括本部 アダプティブ・インフラストラクチャ ビジネス本部 担当マネージャ 宮坂美樹氏は、「昨今、注目されているITシステムの統合から、今後リスク分散へと注目が移るのは当然の流れだ。特に現在DR分野は2009年以降にISO化されることが濃厚となってきており、製造業を中心に関心が高まっている」と市場熱が高まっていることをアピールした。

宮坂氏写真 日本HP マーケティング統括本部 アダプティブ・インフラストラクチャ ビジネス本部 担当マネージャ 宮坂美樹氏

 従来、HPはハイエンドストレージシステムである「XPシリーズ」を中心としたハイエンドDRをメインに提供してきていた。日本HP エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ストレージワークスビジネス本部 諏訪英一郎氏は「ハイエンドDRでは、必ずコンサルティング部分も必要とするため料金が見えにくく、一種の敷居の高さを作っていた部分もあった。そのような理由から、従来はDRを導入する企業は大企業が中心となっていた」と説明。そして、今後市場を拡大させるために必要な中堅・中小企業へDRを普及させていくためには、パッケージソリューションなどが必要だと判断したという。

 そうした背景の下、同社では中堅・中小企業向けのDRソリューションを開発。今回新たに提供するソリューションは「EVA リモートデータコピー 1TBパッケージ」「Blade+VMware Site Recovery Manager+EVA DRソリューション」「HP StorageWorks XP DR-Liteソリューション」の3種類だ。

 EVA リモートデータコピー 1TBパッケージは、導入構築サービスやストレージ筐体間コピーソフト、StorageWorks EVAのディスクアレイやFCスイッチなどリモートデータコピーに必要なすべてをパッケージ化した製品。諏訪氏によると、「1TBという容量制限があるものの、商品構成を固定にすることにより検証も十分済んでおり、安心・安価に提供できる点が大きい。導入サービスも含まれているのでその部分での追加料金も発生せず、ユーザーに分かりやすい料金体系になった」という。

 このパッケージの場合、ディスクアレイには「HP StorageWorks 4400 Enterprise Virtual Array(EVA4400)」を採用。数十キロ〜数百キロ離れた拠点においてデータ保護とフェイルオーバを可能にする。更新があったデータを変更順に常時転送可能だ。価格は税別3990万円から。

 Blade+VMware Site Recovery Manager+EVA DRソリューションは、12月2日に国内でリリースされた「VMware Site Recovery Manager」(SRM)を利用したDR製品。SRMを利用することで、災害復旧の作業を簡素化・自動化することができるという。このソリューションでは、SRM用にHPが開発したプラグインを利用して、SRMサーバにインストールしたContinuous Access EVAとの連携を可能にしている。諏訪氏は「このソリューションと同じようなものを競合他社も提供しているが、当社はディスクストレージ市場でシェア1位の実績と当社によるワンストップソリューションを提供できるという点で差別化を図れるはずだ」とコメントした。価格は標準構成の場合のハードウェア定価が税別5629万円から。

 HP StorageWorks XP DR-Liteソリューションは、ローカルサイトにハイエンドDRのXPシリーズを設置し、バックアップサイトにはEVAシリーズを用意することで、両者にXPを用いるよりも比較的安価にDRを提供できるソリューション。「従来の両者にXPを利用する場合に比べて、3割以上のコスト削減効果が見込める。ただし、それでもハイエンドのXPシリーズを1台利用することから、一般的なケースで数千万円の後半の価格設定となってしまう」とコメントした。

 宮坂氏は、「中堅・中小企業向けといっても4000万円以上することから、ターゲットは中堅〜大企業になるだろう。また、世界経済の悪化から、DRへの投資は一番後ろに回される可能性が高いという現状もある。しかし、自動車業界など、業界全体でDRを重視している分野もあるので、今後需要は伸びていくはずだ。2009年度で数十件の案件を獲得していきたい」と抱負を語った。

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