ネッティング(ねってぃんぐ)情報システム用語事典

netting / 差額決済 / 相殺決済 / 交互計算決済

» 2009年05月26日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 社内やグループ会社間における取り引きの支払い/受け取りの精査を簡略化するため、事前に部門・通貨・相殺期間ごとの債権・債務の残高を相殺して、1回の決済に振り替えること。CMSで提供される機能/サービスである。

 複数の取引主体間で双方向の取り引きが行われる場合、取引総額は正味(ネット)の額より大きくなる。例えばA社がB社から100万円分の商品・サービスを購入し、

B社もA社から60万円分を購入するとき、取引総額は160万円になるが、差し引きすれば実質的な支払いはA社からB社へ40万円である。このような相互の支払残高の差額を算出して決済する方法がネッティングの基本形である。

 ネッティングは、国際金融取引における取引方法として知られる。ドル−円などの外国為替取引では、決済額を圧縮することで為替手数料・為替リスクを軽減できる。銀行にとってはバランスシート上の総資産を圧縮し、自己資本比率を上げることにつながる。日本では1994年の外為法改正によって外国為替のネッティング取り引きが自由化された。1対1で行われるネッティングをバイラテラル・ネッティング(2当事者間ネッティング)、3者以上の取引主体間で行われるものをマルチラテラル・ネッティング(複数当事者間ネッティング)という。

 同一企業内の部門間取引は通常、帳簿上の付け替えだけで具体的な決済が行われないが、企業グループ内のグループ会社間の取り引きは決済が必要である。このようなグループ企業間取引の決済額を圧縮し、銀行手数料の削減を支援するソリューションとしてCMSがある(ただし、CMSとは別にネッティング・サービスを提供している銀行もある)。

 なお、日本の銀行が提供するCMSサービスでは、CMS上の統括口座を介してグループ会社の貸借残高を記帳によって精算する方法を採っている。これは決算日を設定して正味金額を算定していないが、邦銀ではこれを「ネッティング」と呼んでいる。

参考文献

▼『キャッシュマネジメントシステム導入・運営ガイド――グループ経営の効率化を図るCMS』 中村正史=著/中央経済社/2008年12月


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