不況でも、割高でも、グリーンIT関連製品は「買う」シマンテック、グリーンITに関する調査結果を発表

» 2009年06月22日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 シマンテックは6月22日、グリーンITに関する調査結果を発表した。調査対象としたグローバルの1052社(うち日本企業は123社)のうち、実に97%が「グリーンIT戦略の導入を検討」しており、45%は「すでに取り組んでいる」ことが分かった。シマンテックでは、「グリーンITは、もはや“やってみたい”取り組みではなく“必須”の取り組みになった」とみて、今後もITインフラの効率化を積極的に提案していくという。

 調査は米Applied Research社が2009年3月に実施し、グローバルでは1052社、うち米国企業は389社、日本企業は123社から有効回答を得た。回答者はバイスプレジデントやシニアバイスプレジデント、CIO、CTO、ディレクターなど経営層、管理層に絞りこみ、“担当者レベル”ではなく“企業としての意思”を把握できるよう配慮した。

IT機器の効率化に役立つなら「割高でも買う」

 まず「グリーンIT戦略はどの段階か」について、全回答者の97%が「検討中」、45%が「実施済み」と回答した。取り組む要因としては「消費電力の削減」が90%、「冷却コストの削減」が87%、また「企業内での“グリーン化”のニーズ」が86%に上った。

写真 世界的な不況下にあっても、省電力化・効率化役立つなら「割高でも買う」という企業が多かった

 注目すべきは、「今後12カ月間に、グリーンITへの取り組みに費やされる予算はどうなるか?」という質問に対して、全体の73%が「増加する」と回答したことだ。うち、全体の19%、日本企業は23%が「グリーンITに対する予算は10%以上増加する」と答えている。

 さらに、グリーンIT関連の製品について、「機能は同等でもエネルギー効率が高ければ、割高でも購入したいと思うか」という質問に対して、「10%以上、割高でも購入する」とした企業は全体で68%、日本企業は79%、「20%以上、割高でも購入する」と答えた企業も全体で41%、日本企業は59%にも及んだ。

 シマンテック プロダクトマーケティング部 プロダクトマーケティングマネージャの朝倉英夫氏は、「“グリーンIT”という言葉が登場して久しいが、近年は“グリーン”ではなく“efficiency”、すなわち“効率”がキーワードになりつつある。この回答は、コスト削減・環境負荷低減を狙うためには“効率向上”という、抜本的な視点が必要という認識が深まっていることと、多くの企業がグリーンIT戦略を優先課題と位置付けていることの現れといえるだろう」と解説した。

究極の電力削減策は“持たない”こと?

 一方、「グリーンITを推進するための取り組み」としては、「古い機器の交換」が95%、「電力消費の監視」が94%、「サーバ仮想化」が94%、「サーバ統合」が93%に上ったほか、57%がSaaSを“グリーン化の取り組みの1つ”と位置付けていることも分かった。

 この背景には、データセンターの電力消費量の問題がある。例えば、EPA(米国環境保護庁)が2007年に発表した「米国におけるデータセンターに関する消費電力に関する調査リポート」によると、「データセンターの消費電力は2011年に現在の約2倍になる」と見込まれているなど、その電力消費量は年々伸びる傾向にある。大規模なデータセンターを持つ企業もこれを重点課題とみており、例えば川の近くにデータセンターを設置して川の水を冷却に活用する、データセンターを寒冷地に設置するなど、さまざまなコスト削減策に取り組んでいる。

写真 SaaSをグリーンITの一環として位置付ける企業も多かった

 その点、「電力効率が高い新しい機器にリプレースしたり、仮想化によってハードウェアの数を減らすことも有効だが、電力消費削減のためには、そもそもハードウェアをできるだけ“持たない”という選択肢もある。SaaSはそんな考え方を反映したものだろう」(朝倉氏)

写真 シマンテック プロダクトマーケティング部 プロダクトマーケティングマネージャの朝倉英夫氏

 こうした状況を受けて、シマンテックでは「ソフトウェアの観点から企業の省力化に貢献する」という。具体的には、仮想サーバの可用性向上に寄与する「Veritas Cluster Server for VMware ESX」をはじめ、ストレージの未使用領域を検出する「Veritas CommandCentral Storage」、重複データを排除しデータ量を大幅に削減する「Veritas NetBackup PureDisk」など、システムの稼働効率向上、構成のスリム化に役立つ一連の製品を積極的にアピールしていく。

 朝倉氏は、「今回の調査では『グリーン化をけん引する立場の人間がいるか』という質問に94%が『いる』(検討中も含む)と答えるなど、IT機器のコスト削減、環境負荷低減、そして効率向上に対する企業のモチベーションは、いま非常に高まっている。もはや当たり前になったサーバ仮想化だけではなく、ストレージやデスクトップも視野に入れた、より効果的な省力化・効率化策を提案していきたい」と話している。

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