直接原価計算(ちょくせつげんかけいさん)情報マネジメント用語辞典

direct cost accounting / direct costing

» 2009年06月22日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 原価(製造原価)を操業度との関係性から変動費固定費に区分し、変動費だけを生産活動の尺度として扱う原価計算の手法のこと。変動原価計算ともいう。

 直接原価計算は、企業活動(生産など)における直接材料費・直接労務費・直接経費だけを活動にかかわる原価として扱い、固定費は期間原価(全額当期費用)として計算する。販売費および一般管理費は当期費用として扱うが、そのうち変動費部分は損益計算書の売上高に対応させ、固定費部分は期間原価として処理する。

 そこでは売上高から直接原価を差し引いて限界利益を求め、この限界利益から期間原価を控除する形で営業利益を算定する。この枠組みでは売上高と原価・利益の関係性が強調され、短期の利益管理に役立つ情報を得ることができる。他方、中長期の設備投資に効果を見るには向かない。

 直接原価計算は、ジョナサン・N・ハリス(Jonathan N. Harris)が論文「What Did We Earn Last Month?」(1936年)で標準原価計算の欠点を指摘したことに始まり、それまでの全部原価計算に代わる方法として米国で提案された。1950〜1960年代に直接原価計算を一般会計制度に統合する主張があったが結果として認められず、現状では管理会計上の手法と位置付けられている。

参考文献

▼『直接原価計算』 アメリカ会計協会=編/染谷恭次郎=監訳/森藤一男、藤田幸男=訳/日本生産性本部/1963年5月(アメリカ会計協会 調査報告書37号『Current Application of Direct Costing』、調査報告書23号『Direct Costing』の邦訳)

▼『直接原価計算――J. N. Harrisの学説研究』 園田平三郎=著/中央経済社/1988年6月

▼『直接原価計算論発達史――米国における史的展開と現代的意義』 高橋賢=著/中央経済社/2008年2月


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