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» 2009年08月04日 00時00分 UPDATE

情報システム用語事典:ソフトウェア構成管理(そふとうぇあこうせいかんり)

SCM / software configuration management

[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 ソフトウェア・ライフサイクルを通じて、ソフトウェア構成や構成アイテムの変化を記録し、必要に応じて過去の任意の状態を再現できるようにすること。

 ソフトウェアの設計において、全体整合的なものとして構想されたソフトウェア機能は実装に向けて細分化される。その作業の途中で要求や仕様の変更によってモジュールの役割や区分が変わることもある。開発フェイズではこの設計に基づいて実際のプログラムが作られるが、バグの有無やテストの如何(いかん)によってさまざまなバージョンが生まれる。そして最終的には、それらの中から最適と考えられた組み合わせがソフトウェア製品としてリリースされる。リリース後の運用フェイズでもビジネス上の要求やインフラ側の変更などによって、ソフトウェア・コードの書き換えや、モジュールの入れ替えといった変更が随時行われる。

 これらの変更を無統制の状態で行うと、ソフトウェア・モジュール間の不整合やインターフェイスの不一致などを引き起こしてシステムが機能しなくなり、変更履歴やシステムの現状に関する情報が整備されていない場合、不具合の原因追究に多大な時間を要することになる。そこで情報システムの設計・開発・運用・保守の各フェイズで行われる変更や修正を組織としてコントロールし、その作業履歴を記録してトレーサビリティを確保できるようにする一連の作業をソフトウェア構成管理という。

 構成(configuration)とは、ソフトウェア製品がどのソフトウェア・モジュールのどのバージョンの組み合わせによって成り立っているかぐらいの意味だが、ソフトウェア構成管理の管理対象である“ソフトウェア構成アイテム”には実行モジュールのほかにも「仕様書」「設計書」「モデル」「ログ」「テストケース」「画面・フォーム」「ソースコード」「ユーザーマニュアル」など、ソフトウェアの開発や運用にかかわるあらゆる成果物・メタデータが考えられる。実際の管理作業では、必要に応じて構成アイテムを選択することになる。ソフトウェア構成管理を構成する作業としては、「構成識別、バージョン管理」「構成制御、プロセス制御」「ビルド/リリース管理」「変更管理」などがある。

 ソフトウェア構成管理の考えは、ソフトウェア開発ライフサイクルにおいて分析・設計などの上流工程のメタデータを含めて一元管理しようという統合CASEの流れと、製造業における構成管理で製品に組み込まれるソフトウェアも管理対象としようという流れが合流する中から生まれてきた。

 前者の流れでは、構成識別やベースライン管理、バージョン管理、ビルド/リリース管理などが、後者の発想では変更管理や構成制御が中心課題と考えられるが、いずれもソフトウェアに関する現状把握・変更承認・変更履歴などに関する情報をリポジトリ/構成管理データベースで一元化するという“管理のIT化”を指向する。すなわち、すべてのソフトウェア構成情報が、設計者・開発者・テストエンジニア・保守技術者・運用管理者・ユーザーに対して、適切に提供される環境とプロセスを構築することが理想形となる。

 ソフトウェア構成管理は、ISO/IEC 12207:1995では「支援プロセス」の1つに、これに関連するSLCP-JCF 2007では「2. 支援ライフサイクルプロセス」の中の「2.2 構成管理プロセス」として位置付けられている。また、CMMI(段階表現)ではレベル2におけるキー・プロセスエリアの1つとして「構成管理」が置かれている。

参考文献

▼『プログラムのチーム開発入門――Unix/Adaによるソフトウェア構成管理』 ウェイン・A・バビック=著/菊池豊彦=訳/CQ出版/1988年4月(『Software Configuration Management』の邦訳)

▼『ソフトウェア品質のガイドライン』 ケーパーズ・ジョーンズ=著/富野寿=監訳/共立出版/1999年4月(『Software Quality:Analysis and Guidelines for Success』の邦訳)

▼『ソフトウェア構成管理の悪夢』 ウィリアム・J・ブラウン、ヘイズ・W・スキップ・マコーミックIII、スコット・W・トーマス=著/岩谷宏=訳/ソフトバンク パブリッシング/1999年10月(『AntiPatterns and Patterns in Software Configuration Management』の邦訳)

▼『ソフトウェア構成管理ハンドブック――ソフトウェア資産管理のキィテクノロジー』 徳田弘昭=著/ソフト・リサ−チ・センター/2004年11月


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