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» 2009年08月04日 00時00分 UPDATE

情報システム用語事典:多能工(たのうこう)

multi-function worker

[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 生産や施工において、複数の異なった工程の作業を受け持つ技能を有する作業者のこと。

 フォード生産システムに代表される単純労働者(単能工)を前提にした生産ラインでは、各々の工程を担当する作業者は担当以外の工程の仕事のやり方を知らないため、欠員や作業の遅れがあっても支援に回ることができず、割り当てられた作業を終えたり、前工程が遅延して作業が回ってこない場合、“待つ”ことになってしまう。

 こうした無駄を排除し、多品種少量生産を実現するために柔軟な生産体制を実現するために求められる技能者が多能工である。現場に多能工が多くいれば、忙しい工程に労働力を移動させ、負荷の平準化を行うことができる。

 また、機械化が進んだ生産現場では、作業者は機会の監視が主な任務となるが、順調に稼働している製造装置を見ているのは無駄である。そこで装置自体に問題発生時の自動停止機構を付け(自働化)、多能工が複数の装置を担当する(多工程持ち)ことで、生産性を向上できる。

 このように多能工は、多品種少量生産や生産性向上を担う存在であるため、複数の専門技能を身に付けるだけではなく、工程間の関係を把握して業務変化に順応でき、現場全体に対して指導的な立場として振る舞う能力も求められる。このため、教育・訓練に関しては本人の負担、トレーニングコストともに大きくなる。

 多能工はトヨタ生産システムを支える仕組みの1つで、トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)の大野耐一が考案した。豊田紡織(現トヨタ紡織)出身の大野は紡織工場では女子工員が1人で数十台の織機を操業していたのに、当時の自動車作りでは1人の工員が1台の工作機械しか操作していないという点を課題と考え、工作機械の多台持ち、のちに1人が異なる工程を受け持つ多工持ち化を進め、ここから多能工の概念が生まれた。

参考文献

▼『トヨタ生産方式――脱規模の経営をめざして』 大野耐一=著/ダイヤモンド社/1978月5月

▼『高付加価値ワーカーの育成――高技能・多能工化による新生産システム 』 田中武=著/ぱる出版/1994年5月


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