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» 2009年09月09日 12時00分 UPDATE

読めば分かるコンプライアンス(22):発注側は下請法を最低限は理解するべき (1/2)

今回は、前回の小説部分で取り上げた、下請けイジメに関するケースについて、筆者がコンプライアンスの観点から分かりやすく解説する。

[鈴木 瑞穂,@IT]

下請法とは

編集部から

本編では、第21回に掲載した小説パートに登場したコンプライアンス問題を解説しています。前回の小説パートを未読の方は、ぜひお読みになってから参照されると、より理解が深まると思います。ご一読ください。


 独占禁止法という法律がある。

 その立法主旨は、「私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、結合、協定等の方法による生産、販売、価格、技術等の不当な制限そのた一切の事業活動の不当な拘束を排除し、公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇用及び国民所得の水準を高め、以って、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進すること(第1条)」とある。

 その立法主旨の下で、私的独占の禁止、企業結合の規制、カルテルの規制、不公正な取引方法の規制を定めている。

 さらに、不公正な取引方法の規制については、公正取引委員会告示第15号の「一般指定」により、規制対象となる具体的な取引形態が定められている。また、その第14項には「優越的地位の濫用」という取引形態が定められている。ほかの規制対象については、取引形態がかなり具体的に理解できるが、この「優越的地位の濫用」に関してはその条文表現にまだ抽象性が残っていて、有効な規制のためにうまく機能していなかった。

 そこで1956年(昭和31年)、当時の社会情勢を背景に中小企業の保護という具体的な目的に焦点を絞った「下請代金支払遅延等防止法」が制定された。これがいわゆる下請法だ。

下請法の概要

(1)立法主旨

 下請法の立法趣旨は、「下請代金の支払遅延等を防止することによつて、親事業者の下請事業者に対する取引を公正ならしめるとともに、下請事業者の利益を保護し、もつて国民経済の健全な発達に寄与すること」(第1条)にある。

(2)規制対象取引

 規制対象となる取り引きは、下記の4種類。

  • 製造委託
  • 修理委託
  • 情報成果物作成委託
  • 役務提供委託

 情報成果物作成委託と役務提供委託は、2003年の改正において新たに規制対象取引として定められたものだ。ビジネスのソフト化・第3次産業化を反映した結果といえるだろう。

(3)規制対象事業者

 規制対象取引を業としている事業者がすべて下請法の適用を受けるかというと、そこには下記のような基準がある。

◇製造委託・修理委託の場合

<親事業者となる者> <下請け事業者となる者>
資本金1000万円?3億円の会社 資本金1000万円の会社または個人事業者
資本金3億円超の会社  資本金3億円以下の会社または個人事業者

◇情報成果物作成委託・役務提供委託の場合

<親事業者となる者> <下請け事業者となる者>
資本金1000万円?5000万円の会社 資本金1000万円の会社または個人事業者
資本金5000万円超の会社 資本金5000万円以下の会社または個人事業者

 下請法により規制されるべき親事業者は、それなりの規模をもった事業者であるべきだし、下請法により保護されるべき下請け事業者は、それなりに中小規模であるべきだという配慮がある。

(4)規制内容

 下請法は、親事業者となる者に4つの義務を課し、10種類の行為を禁止しており、これによって下請け事業者となる者の保護を図っている。

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