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» 2009年11月24日 00時00分 UPDATE

情報システム用語事典:ブランドエクイティ(ぶらんどえくいてぃ)

brand equity / ブランド資産価値

[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 ブランドが持つ資産価値のこと。ブランドの有無や優劣は企業の活動に少なからぬ影響を与える。こうしたブランドを企業価値を左右する資産として評価しようという考え方がブランドエクイティである。

 1980年代の米国ではM&Aが活発化し、企業価値を査定・評価する機会が増えていた。これに伴って、従来は単なる名前やロゴに過ぎないと思われていたブランドを資産価値があるものととらえ、積極的に評価しようという流れが登場した。ここでいうequity(純資産額)とは「信頼感や知名度などの無形の価値を金銭的に表したもの」程度の意味である。

 ブランドエクイティの考え方を整理して、一般化をうながしたのがカリフォルニア大学バークレー校のデービッド・A・アーカー(David A. Aaker)の一連の研究である。アーカーは1991年に著した『Managing Brand Equity』でブランドエクイティを「ブランド名やシンボルと結び付いたブランド資産/負債の集合であり、製品のサービスの価値を増減させるもの」と定義し、「ブランドロイヤリティ」「ブランド認知」「知覚品質」「ブランド連想」「そのほかの知的所有権のある無形資産(特許、商標、取引関係など)」に要素分解した。アーカーの理論は、会計・ファイナンスにおける無形資産の評価、経営法務における知的所有権管理に大きな影響を及ぼした。また、マーケティング分野に対しても“ブランド価値は計測可能=操作可能である”という視点を与え、「ブランディング」や「ブランドマネジメント」といった活動が活発に行われるようになった。

 ブランドエクイティの評価方法はいくつも提唱されているが、決定的なやり方は特に定まっていない。マーケティング分野では「知名度」「信頼度」「ブランドロイヤリティ」「マインドシェア」などの指標を用いてブランド価値を測定することが多いが、会計・ファイナンス的な意味でのブランドエクイティ測定の方法としては「時価総額と簿価格の差」「コスト積算」「将来価値」「過去の取引価格」などのアプローチが知られている。

 ただし実際のブランド価値の測定は難しく、アーカーも大まかな範囲では計測可能であることは認めているが、精密な測定については否定的な見解を示している。

参考文献

▼『ブランド・エクイティ戦略——競争優位をつくりだす名前、シンボル、スローガン』 デービッド・A・アーカー=著/陶山計介、中田善啓、尾崎久仁博、小林哲=訳/ダイヤモンド社/1994年1月(『Managing Brand Equity: Capitalizing on the Value of a Brand Name』の邦訳)

▼『ブランド優位の戦略——顧客を創造するBIの開発と実践』 デービッド・A・アーカー=著/陶山計介、小林哲、梅本春夫、石垣智徳=訳/ダイヤモンド社/1997年7月(『Building Strong Brands』の邦訳)

▼『知的無形資産会計〈ライブラリ 会計学最先端(1)〉』 白石和孝=著/新世社/1997年9月

▼『戦略的ブランド・マネジメント』 ケビン・レーン・ケラー=著/恩蔵直人、亀井昭宏=訳/東急エージェンシー出版部/2000年7月(『Strategic Brand Management: Building, Measuring, and Managing Brand Equity』の邦訳)

▼『ブランド資産価値経営——組織を束ね、収益性を高める成長戦略』 スコット・M・デイビス=著/青木幸弘=監訳/日本経済新聞社/2002年8月(『Brand Asset Management: Driving Profitable Growth Through Your Brands』の邦訳)


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