日本アバイア、コンタクトセンターの新製品群を発表顧客のたらい回しを防ぎ、CS向上とTCO削減を両立

» 2010年08月06日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 日本アバイアは8月6日、ユニファイドコミュニケーションやコンタクトセンターの実現基盤となる「Avaya Aura 6.0」、マルチメディアのセッション管理を実現するSIPベースのコンタクトセンターソリューション「Avaya Aura Contact Center」など、企業のコミュニケーションを支える一連の製品群を発表した。電話だけではなく、電子メール、インスタント・メッセージングなどを含めたマルチメディア対応を実現するほか、「人」を中心とした、高質・効率的な顧客対応を支援し、CS向上、TCO削減に大きく貢献するという。

“会議システムベース”の仕組みで、顧客のたらい回しを排除

 今回発表した製品は全部で5つ。1つは、SIPを利用したマルチメディアサービス実現のための通信方式、IMSをベースとした企業向けコミュニケーション・プラットフォーム製品の最新版、Avaya Aura 6.0だ。

 Avaya Auraは2009年5月に発表した製品で、音声、電子メール、インスタントメッセージングといったあらゆる“セッション”をSIPベースで統合管理できるコンタクトセンター/ユニファイドコミュニケーションの実現基盤となるソリューション。今回はセキュリティ機能、拡張性などを向上させた。また、従来はIP-PBXとコンタクトセンター機能を提供するアプリケーションが1つのシステムであったため、センター機能を追加・強化する際にはシステム全体を変更する必要があった。しかし、Avaya Auraではアプリケーションと通信機能を分離したアーキテクチャを採用しているため、コストを抑えながら迅速に機能を追加・強化できることを大きな特徴としている。

写真 Avaya Aura 6.0のアーキテクチャのイメージ。IP-PBX「Avaya Aura Communication Manager」の一部だった「ACD(着信呼自動分配)機能」を、マルチメディア対応の「Avaya Aura Contact Center」としてIP-PBXから独立

 この仕組みを利用しているのが、SIPベースのコンタクトセンターソリューション、Avaya Aura Contact Center(以下、AACC)だ。IP-PBXのAvaya Aura Communication Managerの一部だったACD(着信呼自動分配)機能を、音声/ビデオ/電子メール/Webチャットなど「複数種類のセッションを管理する機能」に強化したうえでIP-PBXから独立させた製品であり、オペレータが顧客対応をする際、このAACCによって「その顧客がどの手段でコンタクトしているのか」、それまでのコンタクト履歴、問い合わせ内容などを含めて包括的に把握することができるという。これにより、オペレータの対応品質・効率ともに向上させられる。

 例えば、顧客が電子メールで問い合わせた内容を電話で確認する際、コンタクトセンターのオペレータは、それまでの電子メールによる問い合わせ履歴に基づいた案内が行える。また、顧客との会話中、オペレータの端末画面に「顧客の質問に対して、最適な知識を持つ社内の専門家」のリストを、その在席情報とともに自動的にポップアップさせ、適宜会話に“参加”させることもできる。これにより、顧客を待たせたり、オペレータ間でたらい回しにしたりすることなく、より高品質・効率的な対応が行えるという。

 「ポイントはSIPベースによるマルチメディア対応と、会議システムベースという考え方にある。従来は『顧客からのコールを受け付けてオペレータに回す』プッシュ型のオペレーションだったが、AACCの場合、あらゆるセッションを受け付ける一方で、その対応に必要な人的リソースやIT資産をAACCに“持ってくる”という仕組みになっている」(日本アバイア ソリューション マーケティング 部長 平野淳氏)

写真 日本アバイア ソリューション マーケティング 部長 平野淳氏

 例えば、顧客が質問の電話を掛けてきた場合、それが自動応答で済むコンタクトならAACCがIVR(音声自動応答装置)を呼び出し、オペレータ対応が必要なコンタクトならオペレータを呼び出して対応させる。また、オペレータが会話中に「より詳細な回答が必要」と考えれば、ポップアップされた「社内の専門家一覧」画面の中から、いま対応可能な人材を選んでAACCに呼び出させ、顧客との会話に“巻き込む”といった具合だ。

 「プッシュ型のオペレーションでは、顧客のたらい回しが起こりがちだったが、AACCでは可能な限り1回の対応で済むようになる。すなわち、対応の品質・効率ともに向上させCS向上、TCO削減に大きく貢献する」(平野氏)

他社製品との連携も可能

 このほか、顧客に対して電話や電子メール、SMS(ショートメッセージサービス)による自動通知を行うアウトバウンドソリューション、Avaya Proactive Outreach Manager(POM)と、コンタクトセンターのワークフォース最適化を支援するAvaya Aura Workforce Optimization(WFO)も発表した。

 POMは会員登録の完了・変更通知、クレジットカードなどの利用通知、キャンペーン告知などを、電話だけではなく電子メール、SMS(ショートメッセージサービス)なども含めて行える製品。従来、音声以外のセルフサービスは個別アプリケーションによる作り込みが必要だったが、POMは会員登録の完了・変更通知、クレジットカードの利用通知といった定型業務がパッケージ化されているため、電話以外のアウトバウンド機能を、より迅速かつ手軽に展開できる。

 WFOでは、通話録音機能やオペレータの音声と画面の動きをキャプチャする品質監視機能、品質監視記録を分析する機能などを用意。また、時間帯別のコンタクト量を把握してオペレータの適切な配置を支援する機能なども用意している。

写真 日本アバイア 代表取締役社長 ロバート・スチーブンソン氏

 また、今回のトピックの1つの目玉といえるのが、Avaya Agile Communication Environment(ACE)を発表したことだ。企業のシステムインフラがマルチベンダ環境になっていることを受けた製品であり、APIレベルの開発ツールキット、Webサービスの開発ツールキットのほか、連携用パッケージアプリケーションを用意し、Avaya Auraと他社製品との連携を実現する。パッケージとしては、すでに「IBM Lotus Sametime」「Microsoft Office Communications Server」連携用のアプリケーションを用意しており、「既存資産とAvaya Auraのメリットを組み合わせた、より柔軟な運用を実現する」という。

 日本アバイア 代表取締役社長 ロバート・スチーブンソン氏は、「顧客のたらい回しを防ぎ、顧客中心の高質・効率的なオペレーションを実現する“People Centric”という製品コンセプト、そしてAvaya Auraのアーキテクチャや一連の製品機能によって実現するTCO削減――この2点にフォーカスして今後も顧客企業のビジネスを支援していきたい。今回の製品群については、当面は100社以上への導入を目指す」と話している。

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