ソーシャルメディア(そーしゃるめでぃあ)情報システム用語事典

social media

» 2010年08月06日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 個人や組織が広く情報発信や意見表明をできるようにするメディアの総称で、それらの情報主体間の相互作用(交流・合意形成・協調行動・関係構築など)を促進する基盤となるものをいう。

 通常はインターネットを利用して多対多コミュニケーション(1対多の組み合わせを含む)を行うアプリケーションやオンラインサービスを指す。ブログSNS、マイクロブログ(Twitterなど)、Wiki、動画/画像共有サービス、ソーシャルブックマーク、Q&Aサービス、コメント/レビューサイトなどが代表例である。

 social/societyという言葉は語源的には「結合する」からきており、もともとは人同士の結合、集団や社交をいう。その意味では、人と人の付き合いを直接に媒介し、活発化させる仕組みをソーシャルメディアと定義できるかもしれない。このとき、その集団の参加者がどの程度、個性やプライバシーを公開するかによって、メディアの特性や機能が変わってくる。

 ソーシャルメディアの利用者は、必ずしも実社会での身元や属性を明らかにしなければならないわけではないが、オンラインでの自己同一性(アイデンティティ)を維持しないと中長期には人間関係を構築する主体とはならない。そのため、ハンドル名やアカウント名が固定されない、完全匿名型の掲示板などは一般にソーシャルメディアには位置付けられないようだ。

 ソーシャルメディアという言葉は、米国テクニカルライター/技術ストラテジストのクリス・シプリー(Chris Shipley)が2004年ごろに造語したとされるが、広く注目を集めるようになったのは、米国で大統領選挙があった2008年ごろからである。オバマ、マケイン両陣営ともFacebook、MySpace、YouTube、Twitterを使い分け、オンラインでの選挙キャンペーンを展開し、話題となった。

 このほかに政治的分野では、情報統制の厳しい国でそれを乗り越える個人報道のツールとして、あるいは既存のマスメディアに起こりがちな偏向報道に対抗する社会基盤としても期待されている。また経済分野では、ソーシャルメディアをマーケティング活動に活用するソーシャルメディア・マーケティング(SMM)が提唱されている。

参考文献

▼『グランズウェル――ソーシャルテクノロジーによる企業戦略』 シャーリーン・リー、ジョシュ・バーノフ=著/伊東奈美子=訳/翔泳社/2008年11月(『Groundswell: Winning in a World Transformed by Social Technologies』の邦訳)

▼『ツイッターノミクス』 タラ・ハント=著/村井章子=訳/文藝春秋/2010年3月(『The Whuffie Factor: Using the Power of Social Networks to Build Your Business』の邦訳)

▼『爆発するソーシャルメディア――セカンドライフからモバゲータウンまで グーグルを超えるウェブの新潮流』 湯川鶴章=著/ソフトバンク クリエイティブ/2007年3月

▼『ギフト――エロスの交易』 ルイス・ハイド=著/井上美沙子、林ひろみ=訳/法政大学出版会/2002年2月(『The Gift: Imagination and the Erotic Life of Property』の邦訳

▼『ソーシャル・キャピタル――現代経済社会のガバナンスの基礎』 宮川公男、大守隆=編/東洋経済新報社/2004年9月

▼『孤独なボウリング――米国コミュニティの崩壊と再生』 ロバート・D・パットナム=著/柴内康文=訳/柏書房/2006年4月(『Bowling Alone: The Collapse and Revival of American Community』の邦訳


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