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» 2010年10月05日 00時00分 UPDATE

NTTコムと共同でついにデータセンターを東京に建設:“偽物クラウド”にだまされるな! 〜ベニオフCEO

[大津心,@IT]

 セールスフォース・ドットコムは5日、同社のプライベートイベント「Cloudforce 2010 Japan」を都内で開幕。昨年4000名の来場者があり、今年はさらに上回ることが予想されることから、2日間にわたって開催することになった。

 基調講演に登壇した米salesforce.com CEOのマーク・ベニオフ(Marc Benioff)氏は講演中、「私が提唱したクラウドコンピューティングだが、さまざまなベンダが提供を始めて定義が揺らいでいるようだ。最近ではクラウドコンピューティングの定義から外れた“偽物クラウド”や“幽霊クラウド”が登場してきた。ユーザーの皆さまはぜひ、偽物クラウドにだまされないように注意していただきたい」と何度も強調した。

足掛け5年以上〜ついに東京にデータセンターを建設

 同社の売上高で、米国に次ぐ2位に浮上した日本市場をベニオフ氏は非常に重視。今年5月には1カ月間にわたって日本に滞在し、全国各地を訪問。講演や顧客訪問を繰り返し、日本の顧客の声を聞いて回ったという。

 「損保ジャパンの37万ユーザーは世界最大規模であるほか、日本郵政など日本には非常に重要なユーザーが多い。その日本を研究してニーズを洗い出し、サポートをより強化するために長期滞在した。9月にはファーストリテイリングがグローバル導入し、4万5000ユーザーが利用開始するなど、今後も日本は非常に魅力的な市場だ」(ベニオフ氏)

 日本に注力するベニオフ氏がイベントの手土産に持ってきたのが、東京データセンター開設のニュースだ。同社は、NTTコミュニケーションズと共同で東京にデータセンターを建設中で、2011年から稼働予定だという。同社が2006年から言い続けていた「日本にデータセンターを開設する」という話がついに結実した。

原口氏写真 基調講演に登壇した原口一博前総務大臣。ベニオフ氏に「日本にデータセンターを作ってほしい」と要請したという

 基調講演では、データセンター建設パートナーとなったNTTコミュニケーションズの代表取締役副社長海野忍氏が登壇。「現在、東京にセールスフォース・ドットコムのデータセンターを建設中だ。受注に当たっては、特にセキュリティ面において非常に難しい要件を受け、苦労した」と明かした。

 また、原口一博前総務大臣が登壇。ベニオフ氏によると、同氏と原口氏は5月に会談したほか、原口氏は米国サンフランシスコの同社を訪問し、本社やデータセンターを1日掛かりで見学し、「セキュリティの面からも東京にデータセンターを作ってほしい」と要請したという。

 登壇した原口氏は、「日本にセールスフォースドットコムのデータセンターができることはとても大きい。いまや国にとって、陸海空に続き、サイバー空間も防御の重要な対象だからだ」とコメントし、日本にデータセンターができる重要性を説いた。

これからは日本のDCを選択できるように

 基調講演後のQ&Aセッションでは、ベニオフ氏は東京データセンター建設の背景を説明した。同社では、数年前からアジア全域を対象にデータセンター候補地の選定を開始。アジア圏では、すでにシンガポールでデータセンターが稼働している。

4人写真 東京データセンター共同建設を発表したセールスフォースとNTTコム。左から、日本法人社長宇陀栄次氏、NTTコム副社長海野氏、米salesforce.com CEOのベニオフ氏、共同創業者のパーカー・ハリス氏

 「日本でも検討は進めていたが、日本の売り上げが伸びて世界2位になったほか、政府や大企業ユーザーが増加したことも要因となり、東京データセンターの建設を決心した。これから日本のユーザーは、日本のデータセンターを指名してデータを置くことができるようになる。また、欧米にある企業であっても日本のデータセンターを指名することが可能だ」とベニオフ氏は説明した。

 また、NTTコムの海野氏は「ネットワーク要件に関しては、当社が自信を持っている部分でもあり、問題なく要件を満たすことができた。しかし、セキュリティ要件は無茶なものではなかったが、厳しい要件だった。松竹梅でいう松コースだった」と、背景を説明した。

“偽物クラウド”にだまされるな!

 また、基調講演において、ベニオフ氏は同氏が提唱を始めたクラウドコンピューティングの定義が揺れ始めていると指摘。「私が言っているクラウドコンピューティングには、ハードウェアやソフトウェアは必要ない。プライベートクラウドと呼ばれているものも、私が考えていたクラウドコンピューティングではない。また、仮想化技術は消費電力を減らす素晴らしい技術だが、仮想化技術もクラウドコンピューティングではない。一部、仮想化技術=クラウドであるかのようにうたっている企業もあるが、その点は勘違いしないでほしい」と強調した。

 同氏がクラウドコンピューティングの要件で最も重視するのは、「ハードウェアとソフトウェアからの解放」だ。従って、ハードウェアやソフトウェアを購入しなければならない、プライベートクラウドや仮想化ソフトウェアはクラウドコンピューティングに当てはまらないと指摘する。

 「クラウドコンピューティングの大きな利点は、企業規模に依存しない点だ。個人企業でも大企業でも同じプラットフォーム上で同じメリットを享受できる。また、クラウドではバージョン変更の心配がない点が大きい。日本では、言語の問題から、ソフトウェアなど米国から半年〜2年遅れでリリースされるケースが多い。クラウドコンピューティングでは、すべての言語が同一のプラットフォーム・ソースコードで提供されているので、このようなデメリットが一切ない。日本のユーザーがいまだにIE6を多用している“IE6問題”もクラウドなら発生しない。また、“持たない”点がクラウドの最大のメリットでもある。その点、ソフトウェアやハードウェアを買えというベンダが提供しているサービスは、クラウドコンピューティングではない」と強調し、間違ったクラウドコンピューティングに投資しないように呼びかけた。

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