ネットスイート、ワークフローを備えたSaaS型ERPUIや在庫管理機能も強化

» 2010年11月16日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 ネットスイートは11月16日、SaaS型のERP「NetSuite OneWorld Release J 2010」(以下、Release J 2010)を発表した。Release J 2010は、SaaS型ERPとしては初めてワークフロー機能を搭載した点が特徴だ。

田村氏写真 ネットスイート 代表取締役社長 田村元氏

 ネットスイートは1998年創業のSaaS型ERPのベンダで、現在世界7カ国に拠点を持ち、売上高は1億6500万ドル。顧客数は6000社を超える。日本支社は2006年設立で、現在国内に約100社の顧客を持つ。

 ネットスイートの代表取締役社長 田村元氏は、「オンプレミス型のERPでは、維持・メンテナンス費用が20%近く、またバージョンアップが容易でないために、7割のユーザーが旧バージョンを使い続けているという。その結果、投資額の割に新しい機能が利用できていないなど、“投資に見合わない”と感じるユーザーが増えつつある。ガートナーによる2009〜2013年の市場成長予測を見ると、ERP市場全体が3.3%に対して、SaaS型ERPは17.7%に及ぶ。この点からも、今後SaaS型ERPが普及していくだろう」とコメントした。

 SaaS型のERPの最新バージョンとなるRelease J 2010の特徴は、「新しいユーザーインターフェイス」「グローバルビジネスマネジメントの強化」「ビジネスプロセスツール『SuiteFlow』」の3点。新UIでは、目に優しいデザインを採用したほか、スペースを広げて配色を見やすくしたという。また、必要な情報に気付きやすくするために、不要な文字情報を少なくした。

 また、グローバルビジネスマネジメントの強化では、グローバルな在庫管理機能が拡張され、複数子会社からなる多国籍企業向けの在庫管理機能が追加された。これにより、ブラウザ上から子会社間の在庫を簡単に移動できるようになった。また、税務報告機能も強化。従来の米国、英国、オーストラリア、日本に加えて、カナダやオランダ、ニュージランドの税制にも対応した。

画面イメージ ワークフロー機能「SuiteFlow」の画面イメージ

 そして、今回のアップデートにおける最大の特徴が、SaaS型ERPとしては初めてワークフロー機能「SuiteFlow」を搭載した点だ。これは、財務やマーケティング、営業など各部門にまたがるビジネスプロセスをブラウザ上で簡単に定義し、ワークフローを作成できるツール。従来バージョンでも、同社が提供するカスタマイズ環境「SuiteX」によって独自開発することで、ワークフロー機能を付与することは可能だったが、今回はネットスイート側で開発して提供する。

 田村氏は、「独自開発なしでワークフロー機能を利用できる点は非常に大きい。従来型では、ワークフローが弱いために“営業が承認を得ずに大幅な値引きを行う”などの無統制行為が行われる可能性があった。SuiteFlowによって、統制が可能となり、監査対応も容易になるだろう。当初、当社の製品は中小企業が中心だったが、昨今ではこのような機能強化により、中堅以上の企業にも採用されるケースが増えてきた」とコメントし、今後の躍進に期待を示した。

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