日本ラドウェア、データセンターの仮想化/自動化を支援ADCの仮想アプライアンスと、管理ツール用プラグインを発表

» 2011年02月16日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 アプリケーションデリバリコントローラ(ADC)製品を提供する日本ラドウェアは2月16日、ADCの仮想アプライアンス製品「Alteon VA」と、VMware専用管理ツール向けプラグイン製品「vDirect」を発表した。データセンターの仮想化が進む中、ADCは唯一、仮想化への対応が遅れている製品分野だったが、「Alteon VA」は仮想インフラに統合できるほか、「vDirect」によってVMware専用管理ツールからの制御も可能となる。これにより、ビジネスの状況に応じて新しいWebサービスを立ち上げる際、ADCの設定も含めて迅速なサーバ配備が可能になるなど、“仮想化の利点を生かしたデータセンター運用”を強力に支援するという。

仮想インフラに統合可能なADC「Alteon VA」

 今回発表した「Alteon VA」は、負荷分散機能、帯域制御機能などを持つADCの仮想アプライアンス製品。一般的なサーバ+サードパーティが提供するハイパーバイザ上で動作する“Soft ADC”であり、今回はVMware対応版をリリース。今後、Hyper-V対応版も提供予定だという。

 同社では、これまで専用ハードウェア上で1つのADCを稼働させる高パフォーマンスな「物理アプライアンス」製品と、専用ハードウェア/専用ハイパーバイザー上で、複数の仮想ADCを稼働させる「ADC-VX」の2製品を提供してきた。これに今回の「Alteon VA」を加えたことで、「安定した高いパフォーマンスが必要」「柔軟かつ迅速なADCの展開が必要」など、ユーザー企業のさまざまなニーズに柔軟に答える体制を整えたという。

写真 米ラドウェア CTOのアミール・ペレス(Amir Peles)氏

 ただ、米ラドウェア CTOのアミール・ペレス(Amir Peles)氏は、ユーザー企業にとってのメリットは選択肢の拡大だけではなく、「ADCを仮想化のアーキテクチャに統合可能としたことが大きなポイントだ」と強調する。

 「仮想化技術の浸透により、データセンターでは、サーバをはじめハードウェアの集約・統合が進んでいる。しかし、トラフィックを処理するADCだけは仮想化が進んでおらず、取り残されたような状況だった。しかし今回の“Soft ADC”であるAlteon VAにより、仮想化のアーキテクチャに統合可能となった。これにより、ADCの迅速かつ柔軟な配備が可能になり、データセンターの運用効率をより一層向上できる」

APIを通じて、統合管理ツールからADCを制御

 一方、管理ツール向けプラグイン製品「vDirect」は、データセンター全体を管理する統合管理ツールから、APIを通じて、同社ADC製品群を管理可能とするもの。今回はVMwareの管理ツール「VMware vCenter」「vCenter Orchestrator」対応版を提供するが、今後、IBMやヒューレット・パッカードなどの統合管理ツール対応版もリリース予定だという。

 ペレス氏は、「ADCを専用管理ツールから制御可能とすることで、新しいWebサービスを用意する際なども、ストレージやネットワークの設定、仮想マシンのプロビジョニング、アプリケーションのインストールなどに加えて、“ADCの設定”も一連の作業フローの中でスムーズに実行できる。特に昨今、統合管理ツールを利用したデータセンターの運用自動化が進んでいるが、vDirectはそうした運用自動化、運用効率化、ビジネス展開のスピードアップに大きく寄与する」と解説した。

 なお、同社では2010年10月、製品戦略「VADI」を発表している。これは、レイヤ4〜7にまたがる負荷分散・帯域制御機能を提供するADC製品で定評ある同社が、「データセンターやサーバファームで広がる仮想化のトレンドにどう対応していくか」を示したもの。今回発表した2製品は、このVADI戦略を具現化した第一弾の製品となる。この点について、日本ラドウェア代表取締役の秋元正義氏は、「VADI戦略の発表から約4カ月で新製品を発表できたことを嬉しく思う」とコメント。今後も仮想化関連技術に注力した製品開発を行うことで、「より多くのユーザー企業にさまざまなメリットを提供していきたい」と話している。

 Alteon VAはスループットに応じたライセンス体系としており、1Mbps版が15万円、200Mbps版が120万円、500Mbps版が195万円、1Gbps版が240万円。同社Webサイトに30日間無料で試せる1Mbps版も用意しているという。プラグイン製品「vDirect」は無償で提供する。

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