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» 2011年07月27日 00時00分 UPDATE

情報マネジメント用語辞典:ダイレクトマーケティング(だいれくとまーけてぃんぐ)

direct marketing

[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 顧客(個人/企業)と個別・直接的な双方向コミュニケーションを行って相手の反応を測定しながら、目的を達成するマーケティングシステムのこと。通信販売やダイレクトメールに由来するが、それら諸技法を含めて拡張・体系化されている。

 顧客ごとに個性や要望を知り、それに合わて顧客本位のマーケティング活動を展開していく手法である。100人の顧客がいれば、100種類のオファー(提案内容)やマーケティングメッセージが発せられるのが理想となる。

 ダイレクトマーケティングを特徴付けるポイントの1つが、顧客から測定可能なレスポンスを得ることである。一般的なマスマーケティングでも顧客が商品認知・欲望喚起・購買行為などの消費者行動を起こすことが期待されているが、その結果を計測したいと思っても統計的な結果しか得られない(できない)ことが多い。ダイレクトマーケティングでは、顧客から注文・資料請求・来店などのレスポンスを直接受け、個人/個別企業レベルで顧客情報を獲得(アクィジション)する。

 ダイレクトマーケティングは1度限りの取り引きに適用されることもないではないが、原則として顧客情報を使って効率的に反復販売を実施する方法として体系化されている。顧客リスト/データベースを駆使した販売推進(プロモーション)もダイレクトマーケティングの重要なプロセスだ。顧客属性や購買実績、個別の要望などに応じて推奨商品やオファーを変えるといった活動がこれに当たる。

 顧客と長期に取り引きしようとすれば、顧客維持(リテンション)も必要な活動となる。そこで販売・販促プロモーションとは別に、顧客との関係性を高めるための活動もダイレクトマーケティングのプロセスとされる。

 ダイレクトマーケティングは、顧客ごとにニーズや意見を把握して顧客本位の企業活動を志向するものだが、相手の要望が自社のポリシーや能力に合致しない場合にはコンタクトをやめることができる、いわば顧客を選ぶ手法でもある。ダイレクトマーケティングでは、どの顧客に投資するかを判定する規準として顧客のライフタイムバリュー(LTV)を推奨している。

 ダイレクトマーケティングでは、一般にさまざまなメディアを組み合わせて双方向コミュニケーションを実現する。テレビCMで「お電話ください」と訴えたり、雑誌に綴じ込みはがきを付けたりというのはその典型例である。ほかにもインターネット(Webフォーム、電子メール)、テレマーケティング、テイクワンカード(備え付け申し込み書)、展示会出展、戸別訪問などの各種レスポンス受け付け手段が用いられる。

 通信販売(カタログ販売)に原点を持つダイレクトマーケティングでは活動の目的は長らく、ダイレクトオーダー(電話・郵便などによる注文の獲得)と考えられていたが、現在ではリードジェネレーション(見込み客情報の獲得)とトラフィックジェネレーション(店舗・商業施設への集客)を加えた3つがあると定義されている。

 「ダイレクトマーケティング」という言葉を最初に使ったのは、米国の広告会社ワンダーマンの創始者として知られるレスター・ワンダーマン(Lester Wunderman)である。1960年代初期にはすでに使用していたようだが、広く知られるようになるのは1967年11月にMIT(マサチューセッツ工科大学)で講演を行って以降だという。

 初期のダイレクトマーケティングは将来のマーケティングのあるべき姿を示すビジョンであり、実践面では伝統的な通信販売の手法が踏襲されていた。1970〜1980年代になってファックスやコールセンター(テレマーケティング)の使用が一般化すると双方向性は高まったものの、依然として通信販売との違いは明確ではなった。

 1990年代に入ってデータベースシステムが比較的安価に利用できるようになると、顧客情報やメディア情報を蓄積・活用して顧客対応や顧客アプローチを効率化する手法が登場した。これは「データベースマーケティング」と呼ばれる。さらに2000年ごろにはインターネットの普及などを背景にOne to OneマーケティングCRMの考え方が登場する。これらはダイレクトマーケティングの延長線上にある理論・概念といえるが、IT化の掛け声とともに通信販売以外のさまざまな業界に浸透していくことになった。

 ダイレクトマーケティングはきめ細かな顧客アプローチとともに、効果測定を重視する手法である。個々の施策とレスポンスの関係などについてPDCAサイクルを回し、どの策が有効だったかを継続的に検証・改善していくことが重要となる。

参考文献

▼『「売る広告」への挑戦――ダイレクトマーケティングの父・ワンダーマン自伝』 レスター・ワンダーマン=著/松島恵之=訳/電通/1998年3月(『Being Direct: Making Advertising Pay』の邦訳)

▼『体系 ダイレクトマーケティング――基本理論と実践技術』 中澤功=著/ダイヤモンド社/2005年3月


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