DMBOK(でぃんぼっく)情報マネジメント用語辞典

data management body of knowledge / DAMA-DMBOK / ディンボック / データ管理知識体系ガイド

» 2011年09月09日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 米国DAMAインターナショナルが編纂したデータマネジメントに関する知識体系のこと。組織が継続的なデータマネジメントを推進するに当たって、必要となる考え方や組織体制、管理機能、用語、ベストプラクティスなどをまとめている。

 DMBOKのいうデータマネジメントとは、データ資産を計画的に作成・統制・配信するための組織的機能で、ビジネスとしての側面とIT(データベース技術)としての側面を持つ。DAMAでは「データと情報資産の価値を獲得し、統制し、保護し、提供し、向上させるために行うポリシー、実践、およびプロジェクトを計画し、実行し、監視する活動」と定義している。

 またDMBOKでは、データマネジメントをデータ資産の管財人であるビジネスデータスチュワード(業務側の担当者)と、技術的責任者であるテクニカルデータスチュワード(IT側の専門職)の共同責任とする。データマネジメントを単純なIT活動とはせずに、ビジネス上の課題という面が強く押し出しているところが1つの特徴といえる。

 DMBOKの内容は、全体を統括する「データガバナンス」を中心にして「データアーキテクチャ管理」「データ開発」「データベースオペレーション管理」「データセキュリティ管理」「参照とマスタデータ管理」「データウェアハウスとビジネスインテリジェンス管理」「ドキュメントとコンテンツ管理」「メタデータ管理」「データ品質管理」の“10つの機能”に区分される。この機能にはそれぞれ、「目標と原則」「活動」「成果物」「役割と責任」「技術」「実施と手法」「組織と文化」の“7つの環境要素”がある。

 この“機能×環境要素”の構造は「DMBOK機能フレームワーク」と呼ばれるマトリックスで表現される。

目標と原則 活動 成果物 役割と責任 技術 実施と手法 組織と文化
データガバナンス
データアーキテクチャ管理
データ開発管理
データベースオペレーション管理
データセキュリティ管理
参照とマスタデータ管理
DWHとBI管理
ドキュメントとコンテンツ管理
メタデータ管理
データ品質管理
DMBOK機能フレームワーク

 “環境要素”の1つである「活動」が、データスチュワードやデータ専門家が行う具体的なデータ管理活動である。10の機能に100以上の活動が定義されている。活動は「計画活動」「開発活動」「統制活動」「運用活動」に区分されている。

 DMBOKは実に広範な範囲を取り上げている。むろん、すべてを実施しなければいけないというものではない。「データや情報は企業の重要な資産である」という主張は情報資源管理の時代から続くものだが、DMBOKはそれを実施・改善する際の枠組みになる。自社にとって長期的・永続的に保持すべきデータは何かを見極め、データマネジメントを行う目的、達成すべき目標、実施する範囲を決めたうえで導入することが必要だ。

 DMBOKのオーバービューとなる「DMBOK機能フレームワーク」は初版(ドラフト版)は2006年3月に発行された後、短いサイクルで改定が繰り返され、2008年9月の3.0.2版が最新である。DMBOKの本体であるガイド『The DAMA Guide to the Data Management Body of Knowledge』は2009年4月にCD-ROM版が、2010年2月に書籍版が発行された。『DAMA-DMBOK データ管理知識体系ガイド』として日本語版も発行されている。

 DMBOKの目的には、データマネジメントに関するコンセンサスや標準を確立することも掲げられている。ビジネスとITの双方にまたがる領域でデータマネジメントに関する役割や専門職の成立も目指している。DAMA日本支部では、DMBOKをベースにした教育・啓蒙活動やデータ成熟度を調べる診断などを進めていくとしている。

参考文献

▼『DAMA-DMBOK データ管理知識体系ガイド 日本語版(CD-ROM)』 DAMA International=著/データ総研=監訳/データ総研/2010年4月(『The DAMA Guide to the Data Management Body of Knowledge』の邦訳)


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