連載
» 2004年10月29日 12時00分 UPDATE

システム部門Q&A(14):データウェアハウス中心アプローチで問題解決しよう (1/3)

以前の連載では、情報検索系システムが普及してきていることや、その運用が不適切であると指摘した。では、基幹業務系システムと情報検索系システムとは具体的にどういった関係なのだろうか。

[木暮 仁,@IT]

質問

情報検索系システムと基幹業務系システムの関係は?

第8回「システム部門の縮小化に打ち勝つ!」では、情報検索系システム普及の話題がありました。また、第9回「情報システム部門の生産性が上がらない理由」では、情報検索系システムの運営が不適切であることが取り上げられました。ところで、情報検索系システムと基幹業務系システムとの関係について、もっと詳しく説明してください。



データウェアハウス中心の情報システム体系

 多くの情報システム部門が、次のような悩みを抱いています。

  1. エンドユーザーからの情報提供要求が頻発しているが、情報システム部門は多忙でそれに応えられない。あるいは、その対応で硬直化している。
  2. 基幹業務系システムが長年のパッチ当て的な改訂により、巨大化・複雑化している。このために、ちょっとした要求にも大掛かりな作業が発生してしまう。
  3. 従来のレガシー系からオープン系に移行したいが、それに伴った適切な情報システムの構造をどうするか。
  4. 新システム環境での基幹業務系システムでは、ERPパッケージを採用したいが、利用部門からのカスタマイズ要求をどう回避するか。

 これらの問題を解決するための方策として、これまでにもいくつかの提案をしてきました。1については、情報検索系システムの普及が効果的であること、また、それにより基幹業務系システムを小規模に簡素化できることを示しました。4については、ヒューマンインターフェイスの入出力の部分を除外して、ERPパッケージがカバーする範囲を限定すべきだと示しました。これは3への示唆になると思います。

 ここでは、それらのまとめとして、データウェアハウスを中心にした情報システム体系を提唱します。

情報検索系システムと基幹業務系システムの分割

 この体系では、「分割して統治する」ことを重視しています。まず、データウェアハウスを中心にして、情報検索系システムと基幹業務系システムに分割します。

r8hyou.jpg 情報検索系システムと基幹業務系システムの関係図

1. 情報検索系システムと基幹業務系システムの関係

 販売システム、生産システム、会計システムなど、定例的・定型的な処理をする情報システムを基幹業務系システムとします。そして、基幹業務系システムで収集蓄積したデータから、非定例的に非定型的な検索加工により情報を得る形態を情報検索系システムとします。

 歴史的に見ると、情報検索系システムは基幹業務系システムの補助的な位置付けとして発展してきました。基幹業務系システムでは定例的に定型的な情報を提供するのが目的ですが、現実には欲しいときに(非定例的に)、多様な切り口で検索加工した(非定型的な)帳票が必要になります。そのような多様な要求を情報システム部門が対処するのは困難ですので、個々の帳票ではなく、それらの基となるデータを利用者が取り扱いやすい形式のファイルにして公開し、利用者が簡易言語を用いて自ら取り出せるようにしたのが情報検索系システムです。

 しかし、情報システムの特徴は、一度入力したデータを多様に再利用できることにあります。そして、その多様な利用をするのが情報検索系システムです。情報システムの活用が高度になるにつれて、情報検索系システムの利用が急速に発展してきました。経営的な観点でも情報検索系システムの価値が高まってきました。

 従って、むしろ情報検索系システムの方が主体となり、基幹業務系システムとは、データの判別や収集のルールを定めて、正確なデータを効率的に情報検索系システムに提供する機能であると認識されるようになりました。すなわち、両者の関係が逆転してきたのです。

2. 分割による効果

 この体系では、データを整理して保管するデータウェアハウスを中心にして、『そこからデータを提供する情報システム』が基幹業務系システムであり、『また、そこから多様な情報を入手するための情報システム』が情報検索系システムであると分割します。

 このように分割することにより、次のようなメリットがあります。

〇基幹業務系システムが小規模に簡素化される

 これまで、基幹業務系システムは多くの帳票出力を行っていましたが、その大部分を情報検索系システムとしてエンドユーザー・コンピューティングに回せるので、基幹業務系システムの規模が小さくなります。また、入出力に伴うヒューマンインターフェイスの部分が少なくなるので、基幹業務系システムが簡素化されます(「第9回 情報システム部門の生産性が上がらない理由」参照)。

〇基幹業務系システムへの影響回避

 エンドユーザーの要求が基幹業務系システムに影響するのを回避することができます。例えば、製品や得意先の区分などで分類・集計をするとか、市町村の売り上げデータを人口や自動車台数と関連させて分析するなど、現行のシステムでは持っていない項目が必要になる場合があります。

 従来は、こうした要求のたびに、基幹業務系システムを変更することで対処してきました。しかし、このような項目は情報検索系システムであるとして、エンドユーザーにその管理を任せることができれば、基幹業務系システムには手を付けずに対処できます。

〇セキュリティに効果

 エンドユーザーがアクセスするのは情報検索系システムであり、基幹業務系システムには(データ入力など以外では)触れません。基幹業務系システムで出力する請求書や財務諸表など会計的・社外的な帳票は、エンドユーザーの過失や故意による脅威にさらされません。情報検索系システムのデータを改ざんしてもエンドユーザーにメリットはないし、破壊されたとしても基幹業務系システムから容易に復元できます。

〇基幹業務系システムでの効果

 個々の帳票作成を目標にするのではなく、正規化されたデータウェアハウスのデータ維持を目標とすることにより、基幹業務系システムの設計や改訂がかなり容易になります。これについては後で詳述します。

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