気が付くと今年も残りわずか。今年最後の「デジタル閻魔帳」は、恒例の麻倉怜士氏が2009年を振り返って特に印象に残ったモノを、ハード・ソフト問わずにランキング形式で紹介してもらう「麻倉怜士のデジタルトップ10」。麻倉氏の挙げる、今年最も印象に残ったデジタルトピックスは以下の通りだ。
〜2009年「麻倉怜士のデジタルトップ10」〜 | |
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1位 | 人間的デジタル一眼――オリンパス ペン 「E-P1」 |
2位 | “音”を越えた音体験――村田製作所“ハーモニック・エンハンサー”「ES105A suono」 |
3位 | ユニクロ的高パフォーマンススピーカー――mhi「エビデンス」 |
4位 | 音楽映像の最高峰――「ハイティンク指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 ペライア」 |
5位 | 名作復権――BD「オズの魔法使い」「風と共に去りぬ」 |
6位 | 音楽流通の革命児――クリプトン「HQM STORE」 |
7位 | 充実内容とHD映像のマッチング――「スカパー!HD」 |
8位 | 圧倒的な頭脳を持つテレビ――東芝「CELL REGZA 55X1」 |
9位 | 古き英国の香りを運ぶスピーカー――Stirling「LS3/5a」 |
10位 | 対話型掃除機――ダイソン「DC31 モーターヘッド」 |
次点 | BD「崖の上のポニョ」 |
――今年は昨年、一昨年に比べても、映像ソフト(サービス)が多くランクインしていますね。次点「崖の上のポニョ」は、本連載でも「HD時代のホームシアター作法」の回で注目作品として挙げられていましたね。
麻倉氏: オリジナルの風合いの豊かな、人間的な映像をMPEG-4 AVCで圧縮してBDパッケージ化する際、どうしてもその微妙なニュアンスが失われ堅く硬くなりがちなのですが、このBD「崖の上のポニョ」は劇場で視ている画調の“とろみ”を上手に再現しています。
精細感を保ちながら、質感や触感をやさしくまとめ上げており、文字通り「崖の上」ではないですが、非常にギリギリのところでエンコードしています。圧縮は「元の情報量をこぼさず」が基本ですが、ディレクターズインテンションというか、心象風景を再現することが、これから大事なポイントになるのではと感じさせた作品です。
――10位はダイソンのポータブルクリーナー「DC31モーターヘッド」です。ダイソンのクリーナーは2006年のデジタルトップ10にもランクインしましたね。
麻倉氏: 普段の掃除にはダイソンのキャニスタータイプを使っているのですが、ケーブルの多い試聴室ではやはりポータブルタイプを重宝します。以前から同社のポータブルクリーナー「Root6」を使っており、その便利さは痛感していましたが、DC31モーターヘッドはその名の通りモーター駆動の吸い込み回転ブラシを備えており、より快適に掃除ができます。
使い勝手もさることながら、掃除したい場所・掃除したい時に、ピンポイントで使えるのが非常にいいですね。トリガーを引くという(DC31モーターヘッドは電源ON/OFFをグリップ部分のトリガー型スイッチで行う)行為も楽しいですね。ホコリを狙い撃ちできます。
Root6に比べるとデザインも良くなりましたし、回転ブラシで効率もアップしました。試聴室の掃除が快適になったことで、リスニングライフに欠かせないアイテムとなっています。先ほどトリガーについて触れましたが、対話性というか、使っていることを感じさせるマン/マシンインタフェースが素晴らしいと感じます。
――9位はStirling(スターリング)のスピーカー「LS3/5a」です。
麻倉氏: BBC(英国国営放送)のモニターとして開発された「LS3/5」というスピーカーがありました。基本設計をKEFが行い、中域がさわやかという特徴を持ちます。その基本設計は後ほど公開され、さまざまな企業がLS3/5をベースに味付けの異なる製品を出していました。
LS3/5ベースの製品は作られなくなって10年近く経過していますが、Stirling(スターリング)という企業の社長が復刻させたのがこの「LS3/5a」です。さすがにユニットはオリジナルと異なりますが、オリジナルに非常に近いサウンドでBBCの認定も受けています。
細部まで表現する現代の製品とは少し違う方向性で、帯域もやや狭く感じますが、聞き疲れがなく、実にバランスがよいです。ビートルズのリマスターを聴くと、当時のイギリスの雰囲気、若き日の勢いなどを上手に、端正に表現してくれます。
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