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» 2010年12月27日 11時00分 UPDATE

麻倉怜士のデジタル閻魔帳:2010年版、麻倉怜士の“デジタルトップ10”(後編) (1/3)

AV評論家・麻倉怜士氏がこの一年を振り返り、特に印象に残ったモノをハード・ソフト問わずにランキング形式で紹介する、恒例「麻倉怜士のデジタルトップ10」。後編では第6位からカウントダウンを再開しよう。

[聞き手:芹澤隆徳,ITmedia]

 AV評論家・麻倉怜士氏がこの一年を振り返り、特に印象に残ったモノをハード・ソフト問わずにランキング形式で紹介する、恒例「麻倉怜士のデジタルトップ10」。後編では第6位からカウントダウンを再開しよう。

第6位:MK SOUND「MK950THX Select2」(→秋のオーディオ大豊作祭り

――第6位は、前回の連載で取り上げたMK SOUND(デンマーク)の新製品「MK950THX Select2」です。音展でも注目を集めていました

ts_tenoto01.jpg 音展のタイムロードブースでは、「MK950THX Select2」を使った7.2chシステムをデモ中。来日したMK SOUNDのCEO、Lars Johansen氏と一緒に記念撮影

麻倉氏:ご存じの通り、MK SOUNDのスピーカーは、ハリウッドの映画スタジオで多く使われています。映画をパッケージ化する際のミックスに使われているモニタースピーカーですから、まさにディレクターズインテンションを伝えるためのスピーカーと言えるでしょう。

 映画音響は、Blu-ray Discという媒体を得てクオリティーが大幅に向上しました。ドルビーTrueHDやDTS HD MasterAudioというロスレス音声を収録しているのですから、これはもう、「メディアのところまでディレクターズインテンションが来ている」と言っても過言ではありません。映画好きなら、再生時にそのメリットを生かさないのはもったいないことです。

 10月の「音展」で7.2ch構成を聴く機会がありましたが、音離れが良く、スピード感が高く、敏捷な印象でした。多くの音情報を引き出してくれます。そしてもう1つ、トライポールスピーカーの技術によって、前と後ろの音のつながりを良くして、音場の濃密度を高めている点にも注目です。映像付きの音楽を聴くのにふさわしい、まさに正統派の音。ここまで“映像付きの音”にこだわったスピーカーは珍しいです。

第5位:“超最高”の生録、コルグ「MR-2」(→SACDの復権、BDオーディオの登場

――コルグ「MR-2」が第5位にランクインです

麻倉氏: 先ほどSACDの話をしましたが、SACDと同じDSD方式で“生録”が行えるレコーダー、コルグの「MR-2」を5位にしたいと思います。生録ではリニアPCM録音が主流ですが、MR-2の音は“超最高”。音の構造が全く違う印象を受けます。

ts_sacd05.jpg 麻倉氏愛用のコルグ「MR-2」

 リニアPCMは、正確に描写するような音で、例えるならドキュメンタリー映像のようです。一方のDSDは、映像作品のように思いのこもった音。単なるリアリティーではなく、気持ちの良い“味わい”があります。その音で生録できるのですから、MR-2のすごさが分かるでしょう。

 従来機の「MR-1」ではマイクが外付けになってでしたが、MR-2では内蔵しています。レベルのとり方も簡単で確実。この確実に録音できるという操作感も重要ですね。コルグの場合、1回RECボタンを押すと点滅(止まっている)証拠で、もう1回押すと録音を開始します。

 MR-2を使って、お子さんのピアノ発表会ですとか、おじさんバンドのライブなどを録音してみるのもオススメです。まるで自分の腕が上がったような気になりますよ。

第4位: 「トゥーランドット」

――第4位の「トゥーランドット」はBDでしょうか

麻倉氏: いいえ。11月25日にNHKのBS hiで放送したメトロポリタンオペラです。メトロポリタンという歌劇場は、豪華絢爛(けんらん)で、昔ながらのゴージャスなオペラが楽しめます。

 近年、オペラの本場・欧州では、経済的な事情なのか、あるいは演出家の新しいチャレンジなのか、シンプルな現代風にアレンジされていることが多いようです。欧州は本場だからこそ革新が求められるのかもしれませんね。一方、メトロポリタン歌劇場のあるアメリカは、いわばオペラを消費する国なので変わる必要がありません。ゴージャスなオペラが見たいというオペラファンの期待を裏切らないのがメトロポリタン歌劇場です。

 今から20年ほど前にLDで同じゼッフェルリ演出のオペラを見ました。当時と比べると、映像はSDからHDに変わり、音声もアナログからデジタルに変わりました。かつてはプアーなメディアでしか楽しめなかったものが、ゴージャスなメディアで同じ演出で楽しめる状況になりました。今回、BSデジタルにてゴージャスなオペラを本来の姿で見ることができて、とても感動しました。20年越しの本物は味わい深いです。もちろん、BD-RE直録にして、秋のオーディオフェアの試聴会ではプログラムのトリを務めてもらいました。

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