テスラテクノロジーの本家、ベイヤーダイナミックから“テスライヤフォン”「Xelento remote」誕生:CES 2017
ドイツbeyerdynamicがCESに出展し、テスラテクノロジーを搭載する初のイヤフォン「Xelento remote」を発表した。既にAstell&Kernとコラボしたイヤフォンは存在するが、満を持して本家ブランドのイヤフォンに搭載。その音は?
ドイツのbeyerdynamic(ベイヤーダイナミック)がCESに出展し、同社のテスラテクノロジーを搭載する初のイヤフォン「Xelento remote」を発表した。価格は999ユーロ(12万3000円前後)を見込む。北米では1月から発売を開始する。
強力な磁束密度を生み出し、振動板を精緻かつパワフルにドライブするテスラテクノロジーは、ベイヤーダイナミックの独自技術。これまで上位クラスのオーディオヘッドフォン「T1 2nd Generation」や、プロフェッショナル用ヘッドフォン「DT 1990 PRO」など主力機種に採用されてきた。2015年にはAstell&Kernのイヤフォン「AK T8iE」に世界で初めて搭載されたテスラテクノロジーが、満を持して本家ベイヤーダイナミックブランドのイヤフォンに搭載されることになった。
PVDコーティングをかけた3層構造のメタルハウジングは緩やかな曲線を生かしたデザインを採用。AK T8iEよりも明るいシルバーに仕上げられている。両側ハウジングの表にベイヤーダイナミックのロゴを配置する。
なお、製品名のXelentoは“エクセレント”と読む。従来のアルファベットと数字の組み合わせを変えて、昨年のIFAで発表されたBluetoothワイヤレスイヤフォン「Byron」(バイロン)や、オーディオ用上位ヘッドフォン「Amiron home」のように、新製品の多くには親しみやすいペットネームが付けられることになりそうだ。
会場でXelento remoteの技術開発に携わった、ベイヤーダイナミックのマキシミリアン・フォルスター氏に音作りで工夫を凝らしたポイントなどを聞いた。
フォルスター氏は「テスラテクノロジーをイヤフォンのサイズに合わせてから、再度チューニングすることが最も難しかったと振り返る。AK T8iEでもリングマグネットをヘッドフォンのT1よりも約16分の1に小型化したことが話題を呼んだが、Xelento remoteにも同じ基本技術を採用したドライバーユニットが搭載されているようだ。AK T8iEとの大きな違いは「ベイヤーダイナミックのアコースティックエンジニアが、ブランドのシグネチャーサウンドである“ニュートラルなバランス”にチューニングしていること」だという。
会場に持参したハイレゾプレーヤーで試聴してみると、AK T8iEと比べて中低域方向へよりなだらかにバランスをシフトさせたような、つながりのよいサウンドがきこえてきた。AK T8iEのきらめくようなクリアな高域の特徴は共通ながら、中域の滑らかさ、低域の厚みも心地良く主張してくる。
シリコンイヤーチップはAK T8iEよりも2サイズ大きなものを増やして同梱する。フォルスター氏によればXLでも音漏れが気になることがあるという声を受けて、XXLと3XLを新規に追加しているという。ベイヤーダイナミックのエンジニアが数多くの耳型を採取し、聴覚医療の専門家にもアドバイスを得ながら完成させたというイヤーピースは、独特の楕円(だえん)形シェイプと薄く柔らかな傘の部分が耳孔に柔らかく収まって自然な装着感が得られる。フォルスター氏は「低音を漏らさず耳の奥まで届けられるように設計した」と語っている。このほかにComplyの低反発イヤーチップも3サイズ付属する。
再生周波数帯域は8Hzから4万8000Hz。日本オーディオ協会が推進するハイレゾロゴを取得している製品だ。インピーダンスは16Ω、感度は110dBとスマホでも鳴らしやすいイヤフォンだ。AK T8iEシリーズに同梱(どうこん)される2.5mm 4極バランスケーブルが付かない代わりに、3ボタンマイクを搭載するリモコンケーブルが付いてくる。このほかにも1.3mのリモコンなしリケーブルも付属する。
ケーブルには銀コートのOFC線を採用。被覆は特殊樹脂のケブラーを採用し、およそ4万回の曲げ強度テストを行い信頼性も厳しくチェック済みだ。リケーブルの端子はMMCX。イヤフォン側の端子に金メッキ処理をかけている。
フォルスター氏は「テスラ独特のサウンドをポータブル環境でいっそう快適に楽しめるベイヤーダイナミックのイヤフォンが遂に完成した。日本のファンの皆様にもぜひ早く聴いてほしい」と呼びかけた。
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