陸地を遠く離れた外洋で一番頼りになるキャリアはどれだ!
古来(というほど古い話ではないが)、携帯電話(や車載電話)は、陸上だけで使うものであって、海の上(船の上)ではそれ専用に用意した「船舶電話」という無線電話だけが使うことを許されていた。しかし、いまや、海上保安庁が、救難用連絡手段のために携帯電話の所持を釣り人やヨット、パワーボードの船長、乗組員に指導し、「118」という海難専用ダイヤルを設けるまでになった。
ただ、携帯電話は海の上でどこまで使えるのだろうか。週刊つりニュース社が2014年2月17日に発表した「全国31カ所の海釣りスポットでLTEの通信速度を調べた結果」では、NTTドコモのiPhone 5sが、調査地点のすべてでLTE接続を確立し、接続率でもNTTドコモが最もすぐれた結果となっているが、この調査では沿岸に近い釣り場を利用した測定で、陸から離れた外洋での接続については分からない。
ITmediaのPC USERやMobileで超私的に掲載している「海で使うIT」では、北部伊豆諸島海域や、播磨灘、遠州灘、駿河湾などの外洋における携帯電話のエリア調査を紹介している。だが、なにぶん、測定時期が古く、かつ、客観的なデータとなっていないので、これをもってして、今の状況を説明できるとも思えない。
今回、4月15日深夜から4月16日早朝にかけて、プリンセス・クルーズが運航する客船「ダイヤモンド・プリンセス」の関係者向け体験航海に上船して、横浜港から東京湾を南下して、剣埼灯台沖から(伊豆)大島北端の風早埼灯台を目指す航路のちょうど中間で折り返す航海で、3キャリアの利用エリアを調査した。
この航路は、横浜以南の港から出港でレースや釣りをするヨットやパワーボード、そして、週末を利用して大島や内房の港を目指す巡航で多く利用する。特に、三浦半島南端から大島の風早埼灯台を結ぶ航路の中間海域は、この周辺では陸から最も離れているエリアで携帯電話の利用条件としては最も厳しい。
評価に使う機材は、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルで同じモデルを用意できるiPhone 5sを用意した。この3モデルを上船したダイヤモンドプリンスの第15甲板の船体中央露天部にあるBarのテーブルに並べ、出港直後から30分おきに受信状況をチェックした。受信状況のチェックはアンテナアイコンの「○」の数と、観音埼灯台を正横で通過した0時30分以降にFind Testで取得したFreq Band Indicator(受信しているLTEバンドから帯域を知る)をチェックしている。受信感度は良好であるものの、電波の種類は3Gということもあり得るからだ。
なお、ダイヤモンド・プリンセスの航行ログはAndroidデバイスで使える「Mobile Plan2Nav」(JEPPPESEN)と電子海図「C-MAP AN-I204」(JAPAN AND NORTH AND SOUTH KOREA)を使っている。ローカルデバイスに電子海図を保存しているので、ネットワーク圏外になっても利用可能な航海支援アプリだ。
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