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「みんな、安いってよく書きますね」――KDDI田中社長がドコモ新料金プラン報道に「物言い」石川温のスマホ業界新聞(2/2 ページ)

「情報通信審議会 2020-ICT基盤政策特別部会 基本政策委員会(第4回)」終了後、KDDIの田中社長が囲み取材に応じ、これからは固定網がより重要になると語った。

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「石川温のスマホ業界新聞」
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―― 固定の分野で競争をしていくにはどうしたらいいのか。

田中社長 まず、いまの規制は当然のものとしてあって、次の10Gbps、100Gbpsに向かっていくのですが、設備投資が進むようにしていただきたい。今日、孫さんと議論があっていないのは、孫さんは固定網、アクセス網を持っていないんですよ。NTTの利用者なんですよ。だから、NTTのフレッツの再販をされている。自分でやろうと思ったら、サービス事業者なので、販売代理店というよりか、線を借りて、卸で受けて、やりたいということなんでしょう。

 我々は設備をすでに投資していると。NTTさん、結構、値下げをして、世界一になっているのは健全なのですが、結構、シェアを戻してきているが、なかなかシェアを戻せていけていないというのが現状。

 自社でインフラを持っている関東地区、中部は我々の子会社であるCTC、関西は電力系のケイ・オプティコムがやっていて、競争環境を作っている。

 実際のインフラという意味では、北の方はNTTさんの独占状態。われわれは8分岐で借りて、ダークファイバーなので、1Gbpsを作ったり、このあと10Gbpsをつくったりできる。

 しかし、サービスとなると、NTTさんのスペック以上はいけないというのが現状。

 それが2020年に向けて、モバイルのインフラを作るベースになる。固定の割合がどうなるかと言えば、少なくとも5割、5割は同じものを仕入れてできる余地は限られているという時代が来るんですよ、というのを理解して、制度設計をすればみんなハッピーになるという風には思っている」

(★ KDDIはすでに固定網で設備競争をしているが、KDDIにとってやっかいなのがソフトバンク。彼らが1分岐で貸し出せといい、それが実現すると、KDDIは一気に料金競争に負けてしまいかねない。孫さんの口を封じることがKDDIにとっての課題と言える)

―― 競争環境があれば、地方の環境整備も不安はないのか。

田中社長 というか意思ですよね。10年前だったら参入してないですよ。ソフトバンクは参入されていない。うちは参入している。ケーブルテレビも何とか設備競争に持って行かないと、1社1色になってしまう。全国で8分岐ではやってますけれど、そういう意味では何とかなるんですけど、これが制度が緩和されると、続ける意味がない。

 いま8分岐のうち、3分岐ユーザーが入るとブレークイーブンになる。

 ちょっと厳しい地域がある。NTTさんだとシェアが高いので、10分岐だと、7割ユーザーがはいるので、かならずブレークイーブンになる。僕らは借りても3割しかいないから、ブレークイーブンしない。価格が下がると赤字に転落するから、厳しいって言うのはある。でも、やっていこうと思う。

 キャッシュバックもできなくなって、バンドルしたというのは本音ですから。

―― KDDIとしては固定通信においての競争環境は「現状維持」でいいのか。

田中社長 固定は、資料の後ろのほうにも書いたが、最低限、現状維持。現状維持にならない恐怖を覚えているのが実際。

(★ 規制緩和なんてしなくても、いまの通信の世界は競争環境にあるし、「放っておいてくれ」というのが本心なんだと思う)

―― 先日、NTTドコモが料金改定を発表したが。

田中社長 また一言期待しているでしょ。ちょっと勉強をしています。まぁ、思ったほどでは。みんな、よく安いって書きますよね。

(★ ドコモに対して「高い」と言わないまでも、記者に「みんな、安いって書きすぎ」と言及するところを見ると、KDDIはもっと安い料金を期待してしまうのだが)

取材を終えて

 田中社長が語る「これからは固定の時代」というのは、まさに納得。これからモバイルのトラフィックを処理するには、小さな基地局を街中に大量に設置していく必要がある。その時、基地局につなげるのはもちろんFTTH網となるわけで、キャリアにとってFTTHとモバイルは両輪として回す必要がある。

 果たして、そんな時代に固定網を持たないソフトバンクはどうするのか。孫社長が「光の道構想」を再燃しようとしているのは、こうした焦りがあるのかも知れない。

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