iPhoneを振り返る:日本上陸を果たした「iPhone 3G」 ケータイが“インターネットマシン”に
2代目のiPhoneとなる「iPhone 3G」は、3Gのデータ通信規格HSDPAに対応し、日本上陸を果たした。7月11日の発売当日はお祭りのような騒ぎに。先行販売が行われた「ソフトバンク表参道」には、1400人以上が並んだ。
2代目のiPhoneとなる「iPhone 3G」は、3Gのデータ通信規格HSDPAに対応し、日本で初めて販売されたiPhoneだ。2008年6月9日(現地時間)、Appleの年次開発者会議「Worldwide Developers Conference(WWDC)2008」の基調講演でスティーブ・ジョブズが発表し、日本を含む世界22カ国で7月11日に発売された。日本ではソフトバンク(当時はソフトバンクモバイル)でのみ販売された。
待望のiPhone日本上陸とあって、7月11日の発売当日はお祭りのような騒ぎとなった。午前7時から「ソフトバンク表参道」で先行販売が行われたが、1400人以上が並び、「当日分の受け付けは終了しました」という看板が出るほどの長い行列に。報道記者やカメラマン、テレビ局の中継車もショップの前に続々表れ、はしゃぐファンたちをレポートしていた。オンラインでの事前予約なしで発売日に購入できなくなったiPhone 6s/6s Plusの前まで、この行列は新型iPhoneの発売では恒例となった。
販売開始セレモニーではソフトバンクの孫正義社長(当時)が「今日はケータイがインターネットマシンになる、歴史的な記念すべき日」と宣言し、「今後はPCを使ってインターネットを使うよりも、iPhoneを使ってインターネットをする方が快適である、便利である、そんな時代がやってくるのではないかと思う」とiPhone 3Gの魅力を語った。
iPhone 3G本体は、3.5型のタッチパネルディスプレイやIEEE802.11b/g対応の無線LAN、Bluetooth 2.0+EDR、200万画素カメラ、加速度センサーといった初代iPhoneのスペックを継承。さらに、HSDPAネットワークに対応し、A-GPSや公衆無線LAN、携帯電話基地局からの位置情報取得機能などを備えていた。
内蔵ストレージの容量は8GBと16GBの2種類。正面のデザインは初代iPhoneとほとんど同じだったが、背面のボディーカラーは初代のツートーンから単色に変更され、素材も樹脂になった。16GBモデルはブラックとホワイトから選べ、8GBモデルはブラックのみ。背面はなだらかな弧を描き、手にしっくり収まる形状だった。発売時の一括価格は8GBモデルが6万9120円(実質価格2万3040円)、16GBモデルが8万640円(実質価格3万4560円)だった。
OSのバージョンが上がり(iPhone 2.0)、「App Store」でアプリを追加できるようになった。10MB未満のアプリはモバイル通信でダウンロードできたが、それ以上のアプリはWi-FiやiTunes経由で取り込む必要があった。また、メールやカレンダー、連絡先をPCやMacと同期できる「MobileMe」(後にiCloudに移行)も同時に発表。年額9800円で利用できた。
iPhone 3Gは、新しもの好きやAppleファンには好評だったが、使いこなすのにPCが必要になることもあり、日本で一般に広く浸透するまでには至らなかったという印象だ。iPhone 3G単体で持つよりも、フィーチャーフォンと2台持ちする人が多かった。ディスプレイが大きいので地図は見やすかったものの、当時、特に重要な機能の1つだったキャリアメールが「Eメール(i)」に変わり、完全なプッシュ配信ではなかったり、迷惑メール対策をしている他キャリアのケータイに送るとブロックされたりと、使い勝手にも不満が残った。
写真やWebサイトを指で拡大縮小して見るのは新鮮だったが、カメラ性能自体はフィーチャーフォンに及ばなかった。フリック入力は歓迎されたが、Webサイトで日本語を入力しようとするとレスポンスが悪くなることもあった。使い勝手が改善され、iPhone人気が高まるのは、次の「iPhone 3GS」からとなる。
「iPhone 3G」の主な仕様
- 発表日(日本時間):2008年6月10日
- 発売日:2008年7月11日
- キャリア:ソフトバンク
- 容量:8GB、16GB
- サイズ:約62.1(幅)×115.5(高さ)×12.3(厚さ)mm
- 重量:約133g
- ディスプレイ:3.5型(320×480ピクセル)液晶
- プロセッサ:ARM 1176JZ(F)-S
- アウトカメラ:有効約200万画素
- インカメラ:なし
- ネットワーク:3G
- ボディーカラー:ブラック、ホワイト
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