News 2000年8月22日 08:13 PM 更新

レポート:普及への環境が整ったxDSL(3)

 例えば,イー・アクセスの行っている試験サービスでは,AnnexCで約1.35Mbpsという平均値を記録しており,「1Mbpsの商用サービスも技術的には可能」(同社)という結果が出ている(別記事を参照)。しかし,NTTはここでも慎重だ。「首都圏なら,電話局からの距離が全体的に近く,より高速なサービスも可能かもしれない。だが,ほとんどの人に提供できるラインとしては,やはり512Kbpsだ」(同社)。NTTは,DSLをユニバーサル・サービス(全国一律のサービス)とは捉えていないが,地域によってスピードや価格に格差が生じることは避けたいところ。「地方では,電話局からの距離が遠く,思ったようにスピードが出ないケースも考えられる。より高速なサービスは,ラインアップ化の中で考えることになるだろう」(田中氏)。

 料金についても,あまり明確な答えは得られなかった。例えば,試験サービス中の回線使用料は,「想定されるコストから割り出された金額」だったが,NTTは「本サービス開始後も,安くするのはかなり難しい状況」としている。

 しかしながら,現状でもDSLがコストパフォーマンスに優れたインターネット接続インフラであることは間違いない。サービスの本格展開に向けた環境が整いつつある今,取材を受けてくれたDSL事業者たちの顔は以前より明るい。ただし,今後は局舎内のコロケーションスペースの獲得合戦など,事業者間に競争が生じる恐れもある。円滑なサービス地域拡大と利用者の増大に対応するため,早急なルール作りが求められることになるだろう。

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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