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遅すぎる? SAPがOracleの訴訟に反撃準備

» 2007年07月03日 15時28分 公開
[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 SAPはライバル企業のOracleに対する反撃準備を進めている。両社の争いは、Oracleが最近訴訟を起こしたことで激しさを増している。

 SAPの幹部は発表文を通じて、7月3日に行われる2つの記者会見でOracleの訴訟に反論することを明らかにした。最初の会見は午前2時(東部標準時)に、第2回目の会見は午前11時(同)に予定されている。

 この法的紛争は、カリフォルニア州レッドウッドショアーズを本社とするOracleが3月に、「企業による大規模な窃盗」を行ったとしてSAPを提訴したことで公式に始まった。Oracleの主張によると、SAPはサードパーティのサポート組織であるTomorrowNowを通じてOracleのアプリケーションサポートシステムに侵入し、機密の製品情報を違法にダウンロードしたとしている。さらにOracleは6月、著作権侵害と契約違反の申し立てを訴状に追加した。

 SAPでは不正行為は一切なかったとしているが、Oracleの申し立てに対する法的な反論はまだ行っていない。

 Oracleと、独バルドルフに本社を置くSAPとのなりふり構わぬ争いの原因は根深い。データ分野では両社は互いに不動のパートナーであるが(SAPの顧客の大半はOracleのデータベース上でソフトウェアを運用している)、Oracleが2004年に世界第2位だった業務アプリケーションデベロッパーのPeopleSoftに敵対的買収を仕掛けたのを機に、両社の関係は悪化した。Oracleが2005年末、激しい戦いの末にPeopleSoftの買収に成功したとき、SAPはTomorrowNowを買収した。TomorrowNowは、Oracleのアプリケーション(PeopleSoftの製品だけでなく、やはりOracleが買収したJD EdwardsとSiebelの製品も含む)のサポートを提供する。

 TomorrowNowの買収に伴い、SAPは「Safe Passage」プログラムを開始した。これは、Oracleのアプリケーションに対して1ドルに付き約50セントの割引価格でサードパーティのサポートを提供するというもの。

 SAPがTomorrowNowを買収したのを機に、両社は本気で戦い始めた。Oracleのラリー・エリソンCEOは仕返しを誓った。

 2005年1月に行われたアナリスト向け説明会で、エリソン氏はTomorrowNowに関してSAPに厳しい警告を発した――「SAPがPeopleSoftのアプリケーションのサポートを提供するのは自由だが、彼らがわれわれの知的財産権と契約財産権を侵害しないことが条件だ。これは彼らにとって厳しい条件かもしれない」。

 IT調査会社Nucleusのアナリスト、デビッド・オコネル氏によると、OracleはSAPとの訴訟で何か証拠を握っている可能性があるという。

 「Oracleの申し立ては、驚くほど具体的だ。訴状には、TomorrowNowの所在地であるテキサス州のアドレスで使われたサーバとパスワードが具体的に記されている。SAPがこういった具体的指摘に反論するのは容易なことではない」とオコネル氏は話す。

 さらにオコネル氏によると、Oracleの訴状に対する反論が遅れていることは、SAPにとってマイナスになっているという。

 「これは、多くの点でマイナスになっている。相手の企業がこれほどの具体性をもって何かを主張しているのに対し、SAPが反論でこんなに時間がかかっているのは異常だ。彼らは、なすすべもなく立ちすくんでいるように見える」(同氏)

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