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2004/02/20 00:00:00 更新

ITソリューションフロンティア:特集:世界最高水準の電子政府を目指して
国民の声を真にとらえる「e‐広聴」コンセプト実現に向けて

真のe‐Japan(電子政府)を作ろうとすると、国民の声を吸い上げ、行政に反映し、国民にフィードバックするループを迅速に動かす必要がある。そのためには、膨大な量の国民の声を仕分けし、迅速に関連部署へ配信し、適切に行政に反映する広聴支援システムの整備が必要である。NRI(野村総合研究所)ではこのコンセプトを「e‐広聴」と名付け各方面に提言している。

国民の声を行政へ反映させるための課題

 「元気・安心・感動・便利をキーワードとする新たな価値に基づいた社会構築への挑戦」を謳ったe‐Japan戦略IIと、それを具体化するための「電子政府構築計画」が2003年7月に発表された。電子政府の実現にとって基本的な要件のひとつは、行政がITを活用して国民の声に真摯に耳を傾けることであり、それを通じて行政と国民が共感をもつことである。それによって国民の参画を促進し、電子政府を真に意味あるものとすることができる。そのためには、膨大な国民の声を仕分けし、迅速に関連部署へ配信し、適切に行政に反映する基盤整備が必要である。すでに首相官邸や地方自治体のホームページが開設され、また行政・消費者相談、公聴会、世論調査などでもコールセンターや電子メールを使った行政と国民との対話が始まっている。その対話によって行政と国民が情報を共有する仕組みはいろいろ用意されているが、しかし表面的な形にとどまっているケースが多い。

 ホームページあるいはポータルサイトにおいて、国民と行政とが共感をもてるようにするには、国民が、自分の意見が実際の政策に反映されている実感がもてなければならない。そのためにも、膨大で多種多様な国民の声を効率的に処理して行政に反映する広聴支援システムが必要である。

 具体的には、国民の発言内容を一人ひとりの観点から分析し、適切な省庁・組織に知らせ、共有し、新たな行政や政策に反映させることができるように、膨大な量の国民の声を処理できるシステムを整備することである。そして、できる限りその過程をホームページなどを通じて国民に公開することが必要である。

広聴支援システムの核となるテキストマイニング技術

 膨大で多種多様な国民の声を処理するためには、従来、広聴行政の専門化が人手で行ってきた業務をコンピュータシステムにより支援し、効率化することが必要である。この広聴支援システムの核となるのがテキストマイニング技術である。

 テキストマイニング技術は、文章のコンテキストドリブンな(文脈に応じた)分析、問題の本質をミクロにとらえる解析支援、時系列分析によるアーリーウォーニング(早期警戒)と効果測定が可能である。NRIでは、このテキストマイニング技術を「TRUE TELLER (トゥルーテラー)」というソフトウェアパッケージとして実用化し、顧客の声を経営に反映させる手段として企業において効果をあげている。テキストマイニング技術は、電子メールや電話記録、アンケートの自由記入欄に書かれた内容などの把握にきわめて有効な技術である。

テキストマイニングの3 つの効用

 膨大な国民の生の声(自由記入の文章)を確実に聴き、確実に届け、政策や行政サービスに活かす上で、テキストマイニング技術には以下の3つの効用があると考えられる。

(1)分類の自動化

 寄せられた膨大で多種多様な国民の声は、まず、その種類によって分類しなければならない。通常は、電話を受けたり、電子メールを読む相談員がその内容から手作業で分類している。テキストマイニング技術を使えば、国民の声を自動的に分類して、回答すべき部署に転送することができる。また、典型的な質問や問い合わせを自動的に蓄積・類型化して、FAQ(よくある質問に対する回答集)の作成を効率的に支援することができる。

(2)新しい問題の発見と解析

 消費者相談の場合、話題の類型的な分類や消費者の属性に基づいて、あらかじめ回答を用意することにより相談が行われてきた。しかし昨今、想定されていなかった新しい問題が発生することが多く、このような従来の手法では対応しにくいケースが散見される。テキストマイニング技術によれば、膨大な相談のなかから新しい問題や、ついつい見逃してしまう貴重な少数意見を発見することが可能である。さらに新たな属性によって相談内容を分類し、χ2(カイ二乗)分布に基づく検定などの統計手法を使って、ある問題に特徴的なキーワードやコンテキストを発見することができる。また、年代や職業といった属性とキーワードの関係を2次元マップに表現して、その原因究明を支援することが可能である。

(3)時系列分析による早期警戒と効果測定

 さらに、テキストマイニング技術によって国民の声を時系列的に蓄積し、その話題の変化を観測することにより、急速に増加傾向にある問題を発見することができる。これによって早期警戒的な体制をとることが可能となる。また、問題の頻度を時系列で測定することにより、その問題解決のためにとった措置の効果を測定することもできる。

 このように、テキストマイニング技術を活用した「e‐広聴」コンセプトは、膨大な量の国民の声を効率的に処理するための手段として大きな可能性をもっている。これによって、行政と国民の共感に基づく電子政府の構築が前進するものと確信している。

Copyright (c) 2003 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission .

関連リンク
▼OPINION:野村総合研究所

[畠山紳一郎,野村総合研究所]

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