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2004/02/23 00:00:00 更新

製品開発のプロジェクトマネジメント
第1回:従来の方法による業務プロセスの記述

 業務分析は現状の業務プロセスを記述することから始まる。今回はガントチャートによる業務プロセスの記述方法を説明し、その問題点を指摘する

業務プロセスを記述する

 ITシステムの導入により業務効率を改善するには、業務プロセスの現状を分析することが欠かせない。この分析は、現状の業務プロセスを正確に記述することから始まる。まず、一連の業務を構成するタスク(作業単位)を洗い出し、それらのタスクを実施するために必要となるインプットや各タスクが生成するアウトプットを明確にする。次に、これらのタスクをインプットとアウトプットの関係に基づき互いに関連付ける。そして、縦方向にタスクを並べ、横軸を時間軸として、業務プロセスの開始点から終了点までを、どのようなタスクがどのような時間や順序で進められるか、フローチャートとして描く。このようにして業務プロセスを記述したフローチャートは、ガントチャート(Gantt Chart)と呼ばれている。

ガントチャートによる業務プロセスの記述例1

 図1は、「夕食を準備する」という“業務プロセス”を、マイクロソフト社のProject2000を用いてガントチャート形式で描いたものである。この業務プロセスは、12のタスクから構成されている。各タスクのインプットやアウトプットは明示されていないが、簡単な例なので次のように読み取ることができる。

 例えば「野菜を洗う」のインプットは「買ってきたばかりの野菜」であり、アウトプットは「洗い終わった野菜」である。より複雑なプロセスの場合は、タスクの前後にインプットやアウトプットを併記する場合もある。いずれにせよ、それらのインプットやアウトプットに基づいて、各タスクが関連付けられる。例えば、「野菜を切る」のインプットは「洗い終わった野菜」である。しかし、「買ってきたばかりの野菜」ではない。つまり、「野菜を切る」前には「買ってきたばかりの野菜」が洗い終えられている必要がある。従って、「野菜を切る」の前に「野菜を洗う」が来る、という関連付けがなされる。

図1

図1:「夕食を準備する」プロセスを記述したガントチャート

ガントチャートによる業務プロセスの記述例2

例1において、夕食の準備が“スムーズに”進められるのであれば図1のガントチャートはその業務プロセスを正確に記述していると言える。しかし、スムーズには進められない業務プロセスもある。次の例を見てみよう。

 図2は、「家族旅行の計画を立てる」という業務プロセスを記述したガントチャートである。果たして、このチャートは「家族旅行の計画を立てる」プロセスを正確に記述しているだろうか?

 まずは家族旅行の予算を決める。多くの家庭では、その決定権はママにあるかもしれない。それから家族会議が開かれ、行き先と日程が決まる。翌日、パパは会社に行き、有給休暇を申請する。しかしここで、困ったことが起こる。その旅行期間中、どうしても外すことのできない重要な会議が入ってしまったというのだ。仕方なく旅行の日程を変更し、無事に有給休暇も取得したのだが、今度は飛行機が満席で予約できない。再度日程を調整し、残りわずかの空席も何とか予約できたのだが、日程がクリスマス休暇にずれたためホテル代が高くなっていて、予算を超えてしまっている!

 だからと言って、この家族の計画立案能力が特別に低かったとは言えないであろう。実は、「家族旅行の計画を立てる」という業務プロセスは、各タスクが何度か繰り返されて進められるという性格を持っており、上に見たような計画の立て方は、ごく自然なことなのである。

図2

図2:「家族旅行の計画を立てる」プロセスを記述したガントチャート

ガントチャートの問題点とDSM

 では、何がこのような「繰り返し」を引き起こしているのだろうか。それは、「相互依存的」なタスクの存在である。例えば「有給休暇申請」タスクには「旅行日程」というインプットが必要だが、「旅行日程」を確定させるには「有給休暇申請」が受理されていなければならない。同様に「旅行日程」と「航空券予約」「ホテル予約」との間にも、相互依存的な関係がある。従って、どちらかを「仮決め」した上で他のタスクを実施し、都合が悪ければ最初の仮決めの内容が変更され、首尾よく行けば仮決めの内容が確定される。

 先の家族が進めたプロセスが図2のチャートで正確に表現されていないことは明らかである。このように、業務プロセスが「繰り返し」を含んでいる場合、ガントチャートはそのプロセスを正確に表現することができない。それでは、「繰り返し」を含む業務プロセスを正確に表現するには、どうすればよいのだろうか?

この問題を解決する手法が、DSM(Design Structure Matrix)である。DSMは、相互依存的なタスクを含む業務プロセスを、「情報の流れ」に着目してコンパクトに分かりやすく表現する、プロセス分析の手法である。

 次回は、このDSMを用いてプロセスを記述する方法を説明する。

関連リンク
▼米マサチューセッツ工科大学(MIT)
▼Problematics
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▼連載開始にあたって

iTiDコンサルティング
2001年、電通国際情報サービスと米ITIの合弁会社として設立。 両社の特長を受け継ぎ、「製品開発の“品質”にフォーカスをあて、その抜本的な改革を支援する」ことを事業コンセプトに、わが国初の開発生産性定量指標『iTiD INDEX』の開発や独自の『ワークストリーム』の導入など、独創的な手法で製品開発プロセスの抜本的な改革を支援している。

著者

水上博之
電通国際情報サービスでCAD/CAM/CAEシステムの導入支援などに従事した後、2001年より現職。主にメカニカルエンジニアリング領域における設計業務改革のコンサルティング活動に携わっている。

[水上博之,iTiDコンサルティング]

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