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コラム
2004/04/23 00:00 更新

ITソリューション:技術
IP電話の可能性と展望

IP電話の登場によって、音声とデータ通信の間の垣根がなくなる時代がやってきた。しかし、IP電話はまだ発展途上であり、その本来の姿は見せていない。本稿では、携帯電話やブロードバンドとともに、ITソリューションの新たな“商材”であるIP電話の可能性と今後の展望について考察する。

安さが特徴のIP電話

 IP電話とは、IP(インターネットプロトコル)ネットワーク上でVoIP(Voice over IP)という音声通信技術を利用して通話する電話のことである。IP電話の特徴は通話料の安さである。IP電話どうしの場合、通話料が無料というケースもある。なぜならば、IPネットワーク上では、Webページの閲覧や電子メールと同様に、IP電話で送受信されるデータは同じIPデータであり、電話だからといって特別な課金は行われないからである。

 このように、音声とデータの統合によって通信コストの削減や設備投資の抑制が実現できる点が、専用のネットワークによってサービスを提供している従来の固定電話や携帯電話と大きく異なる点である。

電話に代わるIP電話

 一般生活者向けのIP電話サービスは2003年に急速に普及が進み、利用者数はすでに400 万人を超える程度と推定される。一方、企業向けのIP電話も盛り上がりをみせている。その大きな要因が、通信事業者がIP電話サーバーの保守・運用を行うIPセントレックスサービスの登場である。企業にとっては、PBX (構内交換機)やそれに代わるIP電話サーバーの設置・保守・運用を行う必要がないため、大幅なコスト削減が見込まれる。大手企業が続々と導入を発表したことで、世間の注目を集めている。

 IP電話はまだ生まれて間もないサービスなので、とくに企業での利用を考えた場合、従来の固定電話と比べ課題も多く、まだ電話と呼べるレベルにはない。たとえば通話相手が制限されたり、既存のオフィス用ビジネスフォンより機能が少なかったりする。また、IP 電話端末はコンピュータに接続されており、そのシステムもIP電話サーバーを基本とするため、通常のPCやサーバーと同レベルのセキュリティ対策が必要となることも課題のひとつである。しかし、大手電話事業者ではIP 電話サービスへの取り組みを強めるなど、その戦略も変わりはじめている。世の中の流れは確実にIP電話に向かっている。

IP電話の可能性

 IP電話は電話に代わる役割を果たすだけでなく、利用者に新たな利便性を与える可能性を秘めている。

 まず、音声とデータの統合というIP電話の特徴を活かして、新たなサービスが生まれてくると思われる。たとえば、カナダではインターネットのバナー広告と同様の発想から生まれた無料のIP電話サービスがある。利用者が電話をかけると、受話器から企業の広告が流れてくる。それを聞かされる代わりに無料でIP電話がかけられるという仕組みである。また、IP電話とEメールとの連携も考えられる。Eメールの署名欄にIP電話番号を付け、メールを見た後、ワンクリックで相手と通話ができたり、IP電話機がEメールの内容を読み上げたりすることも考えられる。

 IP電話と業務アプリケーションを連携させることで、業務効率化やサービス品質の向上も可能になるであろう。Webと連携したコンタクトセンターの場合、顧客はWeb画面からIP電話とリンクする問い合わせボタンをクリックするだけで、Web画面を参照しながらオペレーターと会話することができる(図1参照)。このとき、顧客はWeb画面でオペレーターの空き具合を確認したり、前回に問い合わせたオペレーターを指名したりすることなども可能となる。そのため、電話がなかなか通じなかったり、前回とオペレーターが異なるため最初から説明しなければならないといった不便さから解放される。

図1

(クリックすると拡大表示)

 家庭では、IP電話端末が情報家電の音声コントローラーになり、情報家電と会話をしながら操作するようになるかもしれない。

電話を超えて進化するIP電話

 2003年は「IP電話元年」と言われたように、技術が生活インフラとして一般に認知され、普及する可能性がみえた年であった。しかしいまから数年のうちに、IP電話は新たな展開をみせるはずである。

 携帯電話がいまでは通話以外の目的にも使われるようになったのと同様に、IP電話も、つねにIPネットワークに接続されていることを活かした思いがけない使い方が生み出され、電話を超えて進化していくであろう。

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▼OPINION:野村総合研究所

[一瀬寛英,野村総合研究所]

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