サーベイ
Home News Enterprise +D Mobile PCUPdate LifeStyle Games Shopping Jobs
OPINION | TOPICS | マーケットニュース | Security | IT Premium | 用語辞典 | ケータイ・サービス
ブログ | Site Map | Ranking Top30
記事検索 ?
最新記事

コラム
2004/05/12 00:00 更新

e-Biz経営学
個人としての国際化対応(1)大人のための英語力養成法

個人としての国際化対応においては、自らの占める場所を創り出しリーダーシップを発揮するために、必要な能力をいかに獲得するかということが重要となる。そのためにはさしあたり「英語力」を鍛えることが必要だ

 第1回から第3回まで、国際化を考える際に“前提として重要と思われる事柄”を論じてきました。今回から、順を追って、個人水準、組織管理水準、組織戦略水準、社会システム水準における国際化対応を具体的に考えていきたいと思います。

 個人としての国際化対応では、文化・歴史・宗教的背景の異なる人々が“一つの場”を共有し活動を展開する際に、自らの占める場所を創り出しリーダーシップを発揮するために必要な能力を如何に獲得するかということが問題となります。差し当たり、現実的に世界共通語として受け入れられている英語力を鍛えることが必要となります。

 第1回を書いた時点では、この問題を飛ばして、いきなりコミュニケーション能力の涵養に入る予定でしたが、しばし考えてみると、大人になってから英語力を磨く必要に迫られている方々は存外に多いと思われ、自分の体験を紹介することも無駄ではないかも知れないと思い直しました。そこで、「大人のための英語力養成法」と銘打って、ぼくのお勧め学習法を書いてみましょう。

明日のために−その1−:出来合いの英会話参考書を捨て、自らネタ本を書こう

 もう十分に頭が固くなっている大人が、“Oh, you dropped your handkerchief.”式の学習を積み重ねることは得策とは思えません。「習うより慣れろ」とよく言われますが、これは半分だけ真実です。アメリカへ行ってスーパーで買物をするのにはこれでも充分ですが、リーダーシップを発揮するために必要とされる水準を越えることはできません。やはり、正しい作戦と努力の積み重ねが必要です。

 喋らなければ英会話能力の向上は望めないことは自明ですから、伝えたくてうずうずする程の内容を持つことが英会話能力を身に付ける最短の道です。ぼくの場合は、渡米前に会話のネタ本を準備しました。アメリカ人が興味を持って聞くであろうことを、日本語、日本歴史、日本文化、自分の趣味、家族の特徴、など、ジャンルに分けて項目化し、先ず日本語で調べてから、英語文献のあるものはそれを集めて参考にし、大学ノート2冊に英文で纏めました。それを繰り返し読むと、自分で書いた英文ですから自然に頭に入ります。

 アメリカに渡ってからは、勿論、ぴったり項目に合う質問を受けることはなかったのですが、あのページのあの英文とこのページのこの英文をくっつけて喋る、というようなことを通して、積極的に会話に入るネタ本として、大いに役立ちました。

 ネタ本の内容は、自分が切実に関心を持てるものであり、かつ自ら英文で纏めたものであれば何でも良いのです。それを持つことで、英語で喋ることが容易になり、知らぬ間に応用力を養うことも可能となります。子供は、機会に恵まれれば楽に外国語を身に付けます。大人としては、生きることを通して培ってきた様々な能力を生かすことで、固くなった頭を補填するという発想が重要だと思います。出来合いの英会話参考書を捨て、自らネタ本を書こう!

明日のために−その2−:完璧な発音は潔くあきらめよう

 頭が固くなった大人が完璧な発音で英語を話すことは、ほぼ不可能です。会話が成立することこそが重要、と割り切ることをお勧めします。ぼくはアメリカのビジネス・スクールで教えていたのですが、ある年、数人の学生が「住田の英語アクセントは酷いから辞めさせろ」という趣旨の抗議文を研究科長に提出しました。すると研究科長の返事は、「君たちは、日本抜きでアメリカ経済が成り立つとは思わないだろう。これからビジネス・リーダーとして世界へ羽ばたこうとしている君たちは、早い段階で日本人の英語アクセントに触れる機会を得て、幸運だと思わなければならない」というものでした。分かり易く話すことは心掛けるべきですが、発音は気にしないことです。

 とは言っても、RとLの区別だけには注意してください。“Japanese live on rice.”(日本人の主食は米です)を、“Japanese live on lice.”(日本人の主食はシラミです)とやっては大変です。RとLの区別に関しては、発音する際にスペルを思い浮かべる訓練をしないと、アメリカに何年住んでも直りません。それと、ゆっくり話すことです。ぼくのアメリカの恩師が、RとLの区別を付ける訓練にと創ってくれた早口言葉を紹介しておきます。

“A lapidary works rapidly.”(宝石研磨職人は、てきぱきと働く)

明日のために−その3−:聞けるようになって真似しよう

 英会話は、勿論、双方向ですから、聞取り能力を磨くことが必要です。ぼくのお勧めは、気に入った映画を1本、完全にマスターすることです。最近では、大きな書店に行くと、映画のDVDをシナリオ付で購入できます。ビデオでもOKですが、随時に止めて訓練するには、DVDの方が便利です。先ず、分かっても分からなくても、最初から最後まで通して鑑賞します。

 次いで、シナリオを例えば5ページずつ区切り、自分で和訳し理解してから、シナリオを見ながら映画のその部分を見ます。何回か繰り返すと、シナリオを見ないでも聞き取れるようになります。そこまで徹底してこなしてから、次の5ページに進みます。1年も掛ければ、普通の英語教育を受けてきた大人であれば誰でも、1本の映画を完全に聞き取れるようになります。すると、次の映画に挑戦する際には、聞き取れない部分だけを拾い出して同じ訓練をすれば済むようになります。

 聞き取れるようになると、表現や言い回しや発音を真似できるようになります。そこまでくれば、あなたは英会話の達人です。耳の訓練と、発信するに値する内容を持つことに留意し、大人として培ってきた人間力を総動員すれば、3年で英会話の達人となることは可能です。言わずもがなの付言:「量的変化こそが質的変化をもたらす」というマルクスの教えを、ここでは充分に生かしましょう!

 次回は、コミュニケーションの構造について論じます。これは、英語と日本語の本質的な違いがどこにあるのかを理解することにも繋がります。当初は、早くゴールに到達することで全体像を提示することを考えていたのですが、こうなったら、ゆっくりと徹底的に探索して行くことにしましょう。

Copyright c 2003 Ushio Sumita. All Rights Reserved.

関連記事
▼国際化の水準を測る三つの尺度:自由気ままに振舞えることがベスト
今回は、国際化について本格的に考察する最後の前提として、国際化の水準を測る三つの尺度について考えてみたい

▼国際化の陥穽:形態・構造を離れて機能性に着目しよう
世界のある地域における事象は、その地域の歴史・文化・宗教・社会システム的背景に根差す要素と、世界のどの地域にも適用し得る普遍的な要素とを含んでいる。同じシステムを自らの組織に適用することを考える場合、直接的に移植するような方法では成功しない。

▼国際化とは何か、IT革命とは何か、さぁみんなで“深く”考えよう
「国際化とは何か、IT革命とは何か」と大上段に問題を投げ掛けられても、何の新鮮味もない、と思われる方も多いだろう。だが、5年後に日本の社会システムや企業あるいは個人が持つべき競争力のイメージを具体的に浮かび上がらせるような体系として、国際化やIT革命の本質が論じられたことがあるだろうか。


関連リンク
▼OPINION:筑波大学 e-biz リサーチ・コンプレックス

[住田潮,筑波大学]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

この記事についてのご感想 【必須】
役に立った 一部だが役に立った 役に立たなかった
コメント
お名前
メールアドレス

サーベイチャンネルは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、ソフトバンク・アイティメディアの他、サーベイチャンネルコーディネータ、及び本記事執筆会社に提供されます。


記事検索 ?
@IT sbp 会社概要 | 利用規約 | プライバシーポリシー | 採用情報 | サイトマップ | お問い合わせ