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2004/05/25 00:00 更新

ITソリューションフロンティア:技術
基幹システムをLinuxサーバーで実現

高い信頼性や処理能力が求められる基幹システムのオープンシステム化には、これまではUNIXサーバーを使用する場合がほとんどであった。しかし、さらなるコスト削減のため、より安価なLinuxサーバーへの期待が高まっている。本稿では、Linuxサーバーを利用した基幹システムの実証試験、コスト評価の結果について紹介する。

Linuxサーバーによる基幹システム

 オープンシステムを使用した基幹システムは、信頼性や実績の面から、UNIXサーバーを使用したものが大半である。しかし、さらなるコスト削減のため、より安価なPCサーバーの活用に対する要求も高まってきている。そこで期待されているのが、UNIXと高い互換性をもつLinuxサーバーの活用である。

 野村総合研究所(以下、NRI)では、Linuxサーバーを基幹システムに適用する研究を行ってきており、信頼性や性能面でさまざまな問題点を解決してきた。また、すでに基幹システムの一部にLinuxサーバーを使用した実績もある。そこで今回、それらの成果を踏まえ、代表的な基幹システムをLinuxサーバーで構築することの実現可能性について検証した。

検証システムの構成

 図1に、Linuxサーバーによる基幹システムの構成を示す。サーバーは、オンライン処理を行うアプリケーションサーバーと、データを格納するためのデータベースサーバー、バッチ処理を行うためのバッチサーバーで構成され、それぞれが多重化されている。また、データベースやバッチ処理のデータの保存にはNAS(ネットワークファイルサーバー)を使用している。各サーバーでデータを共有できるようにすることで、簡単にサーバーの追加や削除ができる。

図1

 このような構成とした理由は、Linuxサーバーは、CPU(中央演算処理ユニット)の増設による性能向上の効果が小さく、サーバーの台数を増やすほうが性能向上のためには効率的だからである。また、ハードウェアベンダーによっては、ディスク装置への接続が二重化できない場合があるという問題を解決するためでもある。

高い信頼性と処理性能を実現

 各サーバーは多重化構成となっているため、1台のサーバーに何らかの障害が発生しても、残りのサーバーで処理が続行できる。また、障害サーバーの切り離し処理は人的な作業を介さず、すべて自動的に行われるため、障害発生時のサービス停止時間も数秒〜数分と非常に短く、UNIXサーバーによる二重化構成を上回る高い信頼性が確保されている。

 オンライン処理性能の実証試験では、一般的な伝票入力モデルとして、数GB(ギガバイト)程度の小規模マスターデータベースを5 回参照した後、100GB程度の伝票累積データベースを更新するモデルを想定し、同時接続数を変化させながらスループット値(単位時間あたりの処理数)を測定した(表1参照)。

表1

 結果は、サーバー3台構成の場合で最高637 (処理/秒)という高い処理性能を示している。この数値は中規模UNIXサーバーに匹敵するもので、このシステムが大規模伝票入力処理にも十分に耐えられることが実証された。

 バッチ処理性能の実証試験では、ファイルサーバーへの入出力ファイルサイズの合計がそれぞれ2,280MB(メガバイト)、980MBで、マッチング処理、トランザクション処理、ソート処理が各800万件という大規模なものを想定し、同時実行ジョブ数を変化させながらスループット値を測定した(表2参照)。結果は、サーバー2台構成の場合で最高36.4(ジョブ/時間)と、こちらも中規模UNIXサーバーと同程度の処理性能を示した。

表2

コスト削減にはノウハウが重要

 検証の結果では、1台100万円程度の安価なサーバーを複数台使用して、1台数千万円の中規模UNIXサーバーとほぼ同等の信頼性と性能を確保できることが明らかとなった。

 ただし、Linuxサーバーを使用するには、製品の組み合わせ検証や障害時の問題切り分けなどのコントロールも重要であり、それができなければ、トータルコストで高くつくことにもなりかねない。Linuxサーバーを使用してコスト削減を行うには、システムインテグレーションのコントロール能力が不可欠なのである。NRIでは、この検証結果をもとに、基幹システムにLinuxサーバーを適用するプロジェクトが進められている。

Copyright (c) 2004 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission .

[大塚武,野村総合研究所]

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