マスクド・アナライズの「AIしてま~す!」
「もし企業が生成AIを悪用したら……」──中古車販売・デカスギモーターの場合 内部不正を防ぐには(2/3 ページ)
画像生成AIの“ビックリ”な活用法
マスクド 画像における生成AI活用はどのような事例がありますか?
出禍杉 自動車修理で多い作業は、傷やへこみです。浅いすり傷なら「コンパウンド」という研磨剤で簡単に修理ができますが、修理費用が安いのが問題です。そこで画像生成AIによって浅いすり傷を大きな傷やへこみにした画像を作ることで、充填剤(パテ)を使った手間のかかる修復を行ったことにできます。実際に充填剤(パテ)を使った修復を行うと整備士の負担が大きいですが、生成AIのおかげで改善されました。
また、タワーけん引でも生成AIが役立っています。タワーけん引は車体の骨格であるフレームが損傷した場合の修理作業ですが、実際に作業を行うには整備士の負担となります。そこで生成AIにより、タワーけん引を行っている画像を生成して効率化しています。
他には「高機能塗装」という、傷がつきにくく復元できる塗料で車体を塗装する作業があります。しかし依頼件数が少なく塗料が高価なので、塗料を発注して在庫を持つのは負担になります。そこで通常の塗料を使用しておき、作業報告書にはAI生成した高機能塗装の缶の画像を写り込ませています。限りある資源に配慮したSDGsを実現しました。
「AI画像をチェックする機能がないので、問題ありません」
マスクド 画像がAIで生成されたものだと発覚する可能性はありますか?
出禍杉 修理箇所の報告は、損害保険会社が共通で利用するシステムがあります。このシステムには、まだAIで生成した画像をチェックする機能がないので、問題ありません。
マスクド このような斬新な生成AIの活用法は、どうやって考えているのでしょう。
出禍杉 以前は経験を積んだ従業員が管理職となって、部下に指導する形でした。しかしこの方法では、組織拡大に人材育成が追い付きません。ここでも生成AIを活用することで、対応しています。
現在では生成AIに修理方法を質問すると「ヘッドライトのカバーを割る」「ドライバーで車体をひっかく」「紙ヤスリやローソクで擦り傷を作る」「バンパーを力付くで押し込んで、フェンダーに干渉傷をつける」「写真撮影の角度を工夫して傷があるように見せる」など、さまざまなアイデアを提案してくれます。
さらに生成AIは、人間では思い付かない画期的な手法も考えてくれます。例えば靴下にゴルフボールを入れて自動車をたたくと、簡単にへこみを作れることが分かりました。
マスクド ゴルフを愛する人なら、絶対に思い付かないアイデアですね。従業員の業務における生成AIを活用はいかがでしょう。
出禍杉 弊社では環境整備のため、店舗周辺の街路樹を伐採するように指導しています。しかし一部の店舗では生成AIを悪用して、店舗の前にある街路樹を伐採せずに生成AIによって街路樹を削除した画像で報告していました。抜き打ちで店舗を調べた際に発覚したので、従業員による生成AIの悪用は厳正に対処していきます。もちろん今は除草剤を使って街路樹はおろか雑草すら生えない美しい店舗でお客さまを迎えております。
「社長AI」が社員を教育
マスクド 人材育成や組織文化は企業の成長に必要不可欠ですが、どのように生成AIを活用されていますか?
出禍杉 従業員への教育と組織文化を徹底させるため「社長AI」を開発しました。例えば売上目標が未達成の従業員に対して、社長AIが必要な教育方針や指導方法を考えてくれます。さらに社内チャットツールと連動しており、夜中でもスマホでの指導が可能です。
出禍杉 このようにデカスギモーターは生成AIを活用しながら、売上と利益を伸ばし、従業員の負担を減らして、組織の人材育成を行う仕組みを完成させました。こうした他の企業では決してまねできない取り組みこそが、われわれにおける最大の強みです。
マスクド まさに「BM(ベスト・マネジメント)」な生成AI活用ですね。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
マスクド・アナライズの「AIしてま~す!」
企業への生成AIの導入活用やDX支援を手掛ける、AIコンサルタントのマスクド・アナライズさんが“生成AIの今”を愛を持って解説していく。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia AI+に関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
よく見られているカテゴリー
アクセスランキング
-
1
日立、Anthropicと提携 グループ29万人に「Claude」などAI導入 社会インフラ分野にも展開へ
-
2
生成AIで3Dモデルを自動作成 専門スキル不要でテキストや画像から3D化
-
3
伊藤忠商事や三菱ケミカルなど16社が参画 大手企業の「暗黙知」を活用する新プロジェクト
-
4
「AIデータセンターの電力需要が急増」はホント? 発電大手Jパワー社長が明かした“報道との温度差”
-
5
「家庭教師のトライ」が学力診断にAI活用 20問解くだけで弱点を推定 生徒と講師の負担減らす
-
6
みずほFGが実現 2週間かかるAIエージェント開発を最短数日にする仕組みとは?
-
7
「最新のAI創薬ラボ」なのに会議室みたい!? 製薬大手がラブコール送る“異色のAI企業”による新拠点とは
-
8
OpenAI、「ChatGPT」に個人向け資産管理機能 金融口座と連携
-
9
話題の「Claude Mythos」、なんて読む? 「ミトス」か「ミソス」か、はたまた「ミュトス」か
-
10
最新AI「Claude Mythos」がSFすぎる件 研究者の作った”牢”を脱出、悪用懸念で一般公開なし──まるで映画の序章
SpecialPR
ITmedia AI+ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmedia AI+をフォロー
あなたにおすすめの記事PR