ChatGPTの「deep research」で“自分の評判”を調べると……背筋が冷えた(1/2 ページ)
2月3日に発表され、すでにSNSを中心に話題になりつつある、ChatGPTのリサーチ機能「deep research」。SNSでは「半日かかる調査業務が15分で」「調査会社やコンサルタントの脅威」などと注目を浴びており、すでにさまざまな活用法が模索されているが、自分自身のことを調べてみると──。
調査能力が話題 OpenAI「deep research」とは
deep researchは、現時点でChatGPTの最上位プラン「ChatGPT Pro」ユーザーに提供中のリサーチ機能だ。フラグシップな大規模言語モデル「o3」とブラウジングを組み合わせ、十数分~数十分かけて情報を調査・分析し、その結果をまとめてくれる。OpenAIは政治・金融・科学分野や、家電・車を購入するに当たっての調査に向くとしており、SNSでも体験したユーザーから同様の声が聞かれる。ただし他の分野でも利用自体は可能だ。
例えば会社や組織の評判について調べることもできる。例えば、記者が兼務している媒体「ITmedia NEWS」の評判について調べてみるとこんな感じだ。
網羅的で膨大なレポートが出てきたので、自分が知らない情報などの事実関係を一つ一つ徹底的に検証まではしていないが、編集部の“中の人”としての知識や体感と8割方一致する。残りの2割は古い情報や、誤りが含まれる感覚だ。
deep researchは「わたし」をどこまで調べられるか
そこで、deep researchを使って自分自身のことを調べてみる。例えば今、この記事を書いている記者「吉川大貴」については、こんな感じだ。結論から言えば、いくつか微妙な点はあるものの、ネット上で公開されている「ITmedia NEWS/AI+の記者:吉川大貴」の情報はほぼ網羅していた。
まず、deep researchがまとめた情報の中には誤りや不確定な情報がいくつかある。1つ目は勤続年数だ。冒頭に新卒3年目とあるが、実際は5年目だ。「ITmedia内でも重要な記者」など、客観的な評価については、記者には正誤を判断しようがないが、本人としては過大評価に感じる。ただし、他の情報については一部やや過剰な表現もありつつ、事実関係はほぼ正確だった。
感心したのは、記者がインターネット上で露出している情報を全て拾っている点。記者・ライターという仕事柄、記事は本名を添えて世に出すし、たまに社内外のイベントでしゃべることもある。もちろん、自分の書いた記事に何らかのコメントがつくこともある。deep researchは、記者本人が把握している限りの公開情報を、ほぼ全て把握していた。若手なので数が少ないとはいえ、これには驚いた。
使っているSNSについて「公に確認できる情報はない」と回答されたのもちょっとびっくりした。炎上が怖いので、情報収集用や、プライベートなSNSアカウントしか持っていない。まれに自分が書いた記事に言及することもあるが、なるべく「吉川大貴」とひも付けないようにしている。
加えて、自分と同姓同名の研究者や俳優がおり、それぞれSNSやブログで発信を行っているため、AIもだまされるだろうと思っていたが、そうならなかったことに驚いた。
ただし、そもそもネットに公開していない情報は、当然調べられていなかった。記者はITmediaに来る前、他社の媒体で筆名でライターをしていたが、その情報には一切触れていない。記事中などに名前が出ないためか、過去に編集を担当した記事に関する情報もなかった。
実はこういった情報についても、過去の記事や関係者の投稿など、手掛かりが全くないわけではなく、見つけようと思えば見つかりはする。もしくは筆名などをひもつけて調べさせれば探せるだろう。ただ、少なくともシンプルなプロンプトでは調べさせられなかった。
よりネット上での露出が多いベテラン編集者についても同じ調査を行い、出力を本人にも確認してもらったが、記者に近い感想が得られた。総じて公開情報をまとめるのは得意だが、未公開の情報は知らないし、探偵やネットストーカーとしてはそこまででもない、といった感じだ(ベテラン編集者いわく、“ネトストレベル”は5点満点で2点という評価だった)。ネットストーキングがはかどりすぎるのも問題なので、機能開発の時点でOpenAI側が何らかの対策をしている可能性もあるが。
ちなみに、deep researchはその思考過程ものぞくことができる。吉川大貴を調べるに当たって、AIがSNSアカウントを探したり、学歴を調べたりしているのを見ながら十数分待つのは、背筋が冷えるというか、嫌な感じだった。
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