クリエイティブにAIを込めて
クリエイティブな仕事に正解はない──“AIとの雑談”は孤独を救うか? 「広告はスキップする時代」の働き方(1/2 ページ)
博報堂DYホールディングスが、生成AIとクリエイティビティについて考える同連載。今「AIと共鳴する新しいクリエイティブ・ディレクションのかたち」と題し、博報堂/SIXのクリエイティブディレクター/ストラテジストである藤平達之さんが、AIによって変わるクリエイティブディレクターの仕事を紹介する。
「クリエイティブ・ディレクション」とは何か?
いまクリエイティブディレクターの日々の仕事において、AIは新しい対話のパートナーとして重要な存在となってきています。一般的にはCDと略される仕事ですが、みなさん何らかの形で聞いたことはあっても、実際の仕事内容のイメージはしにくいかもしれません。
クリエイティブ・ディレクションの定義は非常に難しいのですが、私は「Why/What/Howのかじ取りの責任者」と考えています。広告コミュニケーションはもちろん、さまざまな領域のクリエイティブワークに対して「何のためにやるのか(Why)」「何をやるのか(What)」「どうやるのか(How)」を考え、決めて、実装する役割です。
例えば、直近で携わったアパレルブランド「earth music&ecology」のリブランディングと顧客体験開発のプロジェクト。「いいことある服。」というタグラインを制定し、そのタグラインを起点にさまざまな施策(Webドラマ/新コレクション開発など)を実行しました。
何よりも時間をかけたのが、earth music&ecologyらしさ(Why:存在意義や価値)に対する解釈です。パッと思い付くだけでも「かわいい」「ちょうどいい(コスパがいい)」「ラインアップが多種多様」など、さまざまな価値を持っているブランドです。どれも正しいのですが、中核に据えるものをどれにするのか、つまりブランドがこの先どちらの方向に行くか。これを決断し、形にする責任者がCDです。
特に広告会社においては、生活者・クライアント・メディアといった多種多様なステークホルダーの結節点として、課題解決や価値創造を行う必要があります。クライアントだけが満足する、あるいは生活者だけが一時的に喜ぶようなアイデアは不十分で、生活者・企業・社会それぞれのニーズのバランスを、高度に両立する。アートではない商業クリエイティブの世界では、CDがそのかじ取りの機能も担う必要があると感じます。
孤独を救う、AIとの「創造的雑談」
先ほどWhy/What/Howの話をしましたが、CDの仕事をまた別の形容詞で表すと「方針を考え、具体を見極め、結論を決める責任がある」という言い方もできると考えています。少し前まで「クリエイティブ×AI」というテーマが語られる際、多くは「具体フェーズ」の議論でした。コピーを1000本すぐに出してくれる、ロゴをたくさんデザインしてくれる、といったものです。
その後、結論フェーズで、工数がかかる作業の代替をする存在としてのAIが注目されていきます。画像の背景を変えられる、服の色を変えられる、プレスリリースの草案を作ってくれる、などです。
これらの飛躍的な進化には、随分と私も助けられました。ただしそれは先の図に即して話せば「And」や「By」の関係だと思います。クリエイティブディレクター×AIということを考えるなら、これだけでは不十分です。
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クリエイティブにAIを込めて
AIによって人間の能力を向上させていくことを目的とする研究機関「Human-Centered AI Institute」を設立した博報堂DYホールディングスが、生成AIとクリエイティビティについて考える。
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