全都立校に導入「都立AI」の狙いを聞いた "嘘情報"対策は? GPT-4o miniでいいの?(1/3 ページ)
東京都教育委員会は5月12日、専用の生成AIサービス「都立AI」を全都立学校に導入した。Web版ChatGPTに似たUIの生成AIサービスを、学校で教員・生徒が使えるようになったのだ。
「先進的な取り組みだ」と評価する声がある一方で、「AIに安易に答えを聞く習慣ができるのでは」「AIによる嘘の回答(ハルシネーション)を信じてしまったらどうする」などのリスクも指摘されている。
都立AIの導入経緯やサービスの詳細、リスクへの対処法などを、都教育委員会の担当者に聞いた。
「AIの活用が、社会で必要になっていく」
導入は急に決まったわけではない。都教委は2023年度から、一部の研究校で生成AI導入を試行。課題を洗い出した上で、24年5月に本格導入にこぎ着けた。「AIの活用は今後、社会で必要になっていく」(都教委の担当者)という前提で、AI時代に対応しようとした。
日本政府も教育でのAI活用に前向きだ。文部科学省は2024年12月、小・中・高等学校での生成AIの活用に関するガイドラインを策定。子どもが学習に用いるケースと、教職員が校務で使用するケースの両面を想定し、活用方法や注意点を示している。
「GPT-4o mini以上」の意味
都立AIは、コニカミノルタジャパン(東京都港区)が開発した都立学校専用のAIサービスだ。都の要求仕様に基づき、一般競争入札で同社が受託・開発したという(落札額は3億円)。
AIモデルは「GPT-4o mini以上」に対応。現在はChatGPT 4o-miniが活用されている。将来のバージョンアップや、別のAIモデルにも対応できるよう、柔軟に設計されているという。
ネットでは「4o-miniでは性能が不足しているのでは?」という意見もあった。担当者は、「仕様の公開日が2025年の1月下旬で、GPT-4.5などはまだ出ていなかった。だから『以上』がミソ。モデルチェンジにも対応できる」と狙いを話す。
“安心・安全”な教育用ChatGPT
ユーザーインターフェース(UI)は、Web版のChatGPTに近いイメージ。画面上に表示されるチャット欄に質問を入力し、AIから返答を得られる。
教員側の画面も基本的には同様だが、より高度な設定が用意されている。学習活動や校務に合わせたテンプレートがある他、作成したプロンプトは、他の教員とも共有できる。
さらに、「カスタムAI」機能でAIの"ふるまい"を細かく設定することもでき、例えば、「答えは出さずにヒントだけを返す」といった制御も可能だ。
要求仕様の絶対条件は「安心・安全」であること。都立AIでは、入力データは生成AIの学習には使用されず、不適切なやり取りを防ぐフィルタリング機能も搭載。生徒や教員がうっかり機微な情報を入力したとしても、AIに学習されて流出する、というリスクがないよう設計されている。テナント(クラウド上に作られたスペース)も、都専用に用意している。
生徒が生成AIとやり取りした内容は教員も見られない。だが「このやり取りだけは確認したい」という場面では、生徒が明示的に送った履歴を教員が確認することができるという。
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