Anthropic躍進でも、ソフトバンクGのAI投資は「OpenAI中心」 後藤CFOが明かす理由
「今はOpenAI中心で考えている」――ソフトバンクグループ(SBG)の後藤芳光氏(取締役 専務執行役員 CFO兼CISO)は、5月13日に実施した2026年3月期連結決算(25年4月1日~26年3月31日)の説明会で、AI関連の投資先についてこのように明かした。
同決算の売上高は7兆7986億5000万円(前年同期比7.7%増)、税引前利益が6兆1349億500万円(同259.9%増)、純利益が5兆22億7100万円(同333.7%増)。後藤氏によると、純利益は「日本企業として史上最高益」という。時価純資産(Net Asset Value、NAV)は、3月末時点で40兆1000億円と過去最高だった。
好調の要因は、米OpenAIと英Armの評価額の上昇だ。SBGは「ASI(人工超知能、人間の知能をはるかに超えたAI)のNo.1プラットフォーマーへ」を掲げ、「AIモデル」「AIチップ」「フィジカルAI」「AIインフラ」の4つの領域に投資している。
中でも、AIモデル領域に当たるOpenAIの企業価値は、25年3月時点の2600億ドル(40兆8200億円、1ドル157円換算、以下同、SBG見積もり)から、26年3月時点で7300億ドル(114兆6100億円)に上昇した。AIチップ領域のArmの時価総額は過去最大級の2210億ドル(34兆6970億円)に達したという。
OpenAIの競合躍進も「非常に良いこと」
SBGのAI関連投資で目立つのが、OpenAIへの積極的な動きだろう。25年度の324億ドル(5兆868億円)の投資に加え、26年10月までに300億ドル(4兆7100億円)を追加で出資する。同時点での累計投資額は646億ドル(10兆1422億円)となり、持分は約13%に達すると見込む。
後藤氏は「OpenAIはArmと並び、SBGのNAVの主要なドライバーの一つとなっている」と説明する。OpenAIの研究開発力やサービス、アクセスできる計算資源などを背景に「同社の長期的な可能性を強く確信している」という。
一方、最近の米国AI企業に関する話題の中心は、OpenAIではなく米Anthropicにある。Anthropicが4月に発表したAIモデル「Claude Mythos Preview」は、高いサイバー攻撃性能を持つため、提供を一部のパートナー企業に限定。サイバー攻撃への悪用の懸念から、日本政府も対応を迫られるなど広範な影響を及ぼしている。
米GoogleのAIモデル「Gemini」の25年の躍進なども踏まえれば、“OpenAI一強”とは言い難い状況だ。SBGはOpenAI以外のAI企業への投資は考えていないのか。
後藤氏は「さまざまな可能性は否定しないが、生成AI分野に関しては、私たちはOpenAIと強いタッグを組んで進めていくべき」との見方を示す。Anthropicに投資する可能性を聞く記者の質問に対しても「今はOpenAI中心で考えている」と答えた。
後藤氏は、その理由について「生成AI分野で、OpenAIはまず一気にサービスを展開し、多くのユーザーのマーケットシェアを確保できた」と語る。競合他社がOpenAIを追いかける状況も「非常に良いこと」と捉える。
「各分野の産業価値は、1社だけで決まるわけではない。競合が技術やビジネスモデルなどを磨きながら価値を高め、多くのユーザーに新しいサービスを提供する。その結果(業界)全体の企業価値、産業価値を高めていく」(後藤氏)
OpenAIが業界内で先行しているため、競合が追い上げてくる可能性も視野に入れる一方「AI産業を支える多くの企業とともにOpenAIが成長してくれる状態を、われわれは何より目指すべき」(後藤氏)とした。
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