ソフトバンクグループが、AI時代の基盤そのものを握る側へ動き出した。
米エネルギー省と米商務省は、ソフトバンクグループ傘下のエネルギー開発会社SB Energyと、米電力大手American Electric Power傘下の電力会社AEP Ohioが、オハイオ州ピケトンで、10ギガワット級のデータセンター開発と、それを支える10ギガワットの新規発電設備の整備を進めると発表した。
新規発電のうち少なくとも9.2ギガワットは天然ガス火力とされ、日本側資金333億ドルが発電向けに充てられる。SB EnergyとAEP Ohioは42億ドルを投じて送電網も強化する計画だ。
ロイター通信は、この案件をソフトバンクとAEPによる大型のAIインフラ開発として報じている。
ソフトバンクグループはこれまで、AIモデル開発会社への投資などを進めてきた。ここにきて投資だけではなく、自らAIの社会インフラを建てる側へと軸足を移し始めたようだ。
今回の計画では、計算資源を収容するデータセンターだけでなく、それを動かす発電と送電までを一体で整備する。しかもSB Energyは1月、米OpenAIとソフトバンクグループからそれぞれ5億ドルずつの出資を受け、OpenAI向けのテキサス州ミラム郡の1.2ギガワット級データセンターの建設・運営先にもなっている。
ソフトバンクグループが年次報告書で示した中長期方針によると、同社はASI(超知能)時代の重点領域として、AI半導体、AIロボット、AIデータセンター、それを支える電力の4分野に注力するという方針を示している。
そして実際に、その方針に従って2025年11月、英Arm系の高性能・省電力CPUを手掛ける米半導体設計会社Ampere Computingの買収を完了。傘下のSB Energyは、米データセンター建設管理会社Studio 151を取り込み、建設・運営の内製力を強化した。
さらにソフトバンクグループは、データセンターや通信網に投資する米デジタルインフラ投資会社DigitalBridgeの買収を打ち出し、スイスの電機大手ABBからはロボティクス事業の買収も進めている。年次報告書に掲げた4つの重点領域に沿って、実際の資産と能力を積み上げている格好だ。
オハイオ案件発表の翌日には、ソフトバンクが中心となって進める「Portsmouth Consortium」も立ち上がった。発電、資金、設備、運営を束ねる産業連合として、日米の主要サプライヤーや金融機関など21社が参加意向を示している。AIインフラを一社で構築するのではなく、企業連合で押し上げる設計も、今回の特徴の一つだ。
いま米国では、AI大手がそろってAIの社会インフラづくりに乗り出している。OpenAIはソフトバンクグループ、米Oracleとともに、今後4年で5000億ドルを投じる米国内AIインフラ計画「Stargate Project」を打ち出している。
米NVIDIAは3月の発表で、新世代の半導体に合わせてAI Factory reference designを公開し、計算、ネットワーク、ストレージ、電力、冷却を一体で最適化する「AI工場」の標準づくりを進めている。
イーロン・マスク氏率いる米xAIも、テキサス州メンフィスに建設した巨大データセンターColossusの設備を増強し、2026年までに100万GPUを備える計画を発表している。
AIの開発競争には、データセンターや発電所などのAIインフラが不可欠であり、そのAIインフラを押さえた企業こそが、これからくるASI時代の中核企業になる。各社その思いで、AIインフラ作りを急いでいる。
ASI時代は米中企業が切り開き、日本企業は蚊帳の外とみなされていたが、ソフトバンクグループを通じて日本企業もその動きの中に参画することになったわけだ。
本記事は、エクサウィザーズが法人向けChatGPT「exaBase 生成AI」の利用者向けに提供しているAI新聞「ソフトバンク、AI社会インフラ企業に 米で10GW級データセンター開発」(2026年3月28日掲載)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。
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