ITmedia デジタル戦略EXPO 2026 夏では、各分野の第一人者や企業の現場でビジネス変革に取り組むリーダーの声を通じて、経営×IT×現場のコラボレーションで全社変革を進めるヒントをお届けします。
AIを活用したデジタル戦略が必須となる中、ダイハツ工業や旭化成、NOT A HOTELなどビジネス変革に取り組む企業の「当事者の声」を通じて、現場のリアルな課題解決方法を探ります。視聴登録はこちらから。
既存の強みや過去の成功体験が、変化の激しい現代では足枷になる――。そんな危機感を持つデジタル戦略リーダーに向け、本特集では保有資産を時代に合わせて読み替える「アセットの再定義」を徹底解剖。自社のコア技術やノウハウを新たな価値を持たせる、企業の具体策を探ります。
ヤマハと聞いて、どんなイメージが浮かぶだろうか。バイクメーカーという印象を持つ人もいるかもしれないが(バイク事業などはヤマハ発動機が担う)、やはり音楽や楽器のトップブランドとして知られている。
世界的にも高い評価を得るヤマハのピアノや電子楽器。子どものころに「ヤマハ音楽教室」に通っていたという人も多いかもしれない。
“音の楽しみ”を届けてきた「音楽のヤマハ」が、「音を良くする」のではなく、「あえて聞こえにくくする」サービスを提供していた。
こう聞くと、一瞬、不思議に思う読者もいるのではないか。「あえて聞こえにくくする」とは一体、どんなサービスなのか。聞こえにくくすることで、ヤマハはどのような価値を提供しようとしているのか。
在宅勤務が定着し、久々に出社したオフィスで、数週間ぶりに顔を合わせた同僚と立ち話をしていると――。やけに静かなオフィスに自分たちの声が響き、やや気まずくて口を閉ざしてしまう。
あるいは病院の受付をしているとき。体の症状など、込み入った会話の内容が待合室にいる人にまで漏れているようで、あまり良い気持ちがしない。
日常において、こうした「聞かれたくない」シーンというのは少なくない。こうした場面で、ヤマハの「あえて聞こえにくくする」技術が力を発揮する。
ヤマハが提供する「スピーチプライバシーシステム」は、その名の通り、会話の内容が第三者に漏れ聞こえてしまうことを防ぎ、プライバシーや機密情報を守るための製品だ。病院や薬局、企業の会議室、シェアオフィスなどに導入されている。
「音を消す」のではなく、「内容を聞き取りにくくする」のがポイントだ。
こう聞くと「ノイズキャンセリング」を思い浮かべる人もいるだろう。
ノイズキャンセリングは、空気を振動させながら波として伝わる音に対して、正反対の波形をした音を作り、それらをぶつけ合うことで音を打ち消す技術を指す。イヤフォンなど限定された空間で広く活用されているが、人の話し声のように刻々と変化する音を、広い三次元空間で打ち消すことは技術的に簡単ではない。
そこで、ヤマハのスピーチプライバシーシステムが採用するのは「サウンドマスキング」という概念だ。これは「音を消す」のではなく、漏れ聞こえる会話などに特殊な音を被せることで、「音の意味を分からなくする」という考え方だ。音をカモフラージュすることで、比較的小さな音量でも会話の内容を不明瞭にできる。
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