先述の通り、サウンドマスキングの概念自体はかつてからあった。だとすれば、ヤマハならではの強みは、どこにあるのだろうか。
その一つとして担当者たちは、長年培ってきた「音づくり」の知見を挙げる。
例えば、楽器や音響機器では、人が「心地よい」と感じる音を追求してきた。一方、防音室やサイレント楽器では、音を外へ漏らさない技術も磨いてきた。
「感性の研究を長年続けてきたことが生きている」(金子さん)
人はどんな音を心地よいと感じるのか。逆に、どんな音に不快感を覚えるのか。同じ音でも、人によって聞こえ方や心理的な印象は異なる。そうした人の感じ方まで含めて研究してきた蓄積が、このサービスに反映されているという。
また、このサービスに込めた本質的な思いとして、「コミュニケーションをもっと活発にするために使ってほしい」と金子さんは話す。
企業がオフィスへの出社を促す理由の一つは、偶発的な会話や雑談から新しいアイデアが生まれることへの期待だ。しかし、会話が周囲に聞こえてしまう環境では、人は無意識のうちに話すことをためらってしまう。
今後はオフィスに限らず、教育現場での導入も目指している。
進路相談室やカウンセリングルーム、不登校支援など、教育現場には周囲に聞かれたくない会話が交わされる場所が少なくない。集中して勉強できる環境づくりという観点からも、可能性があると考えている。
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