AI時代の“シゴデキ”会社員はどこに座る? データ活用が変えた理想のオフィス
AI時代に成果を出す会社員はオフィスのどこに座っているのか――この問いにデータで答えたのがイトーキだ。オフィス設計のKPIを「従業員満足度」から「従業員が能力をどれだけ発揮できたか」を示す指標に転換。位置情報と組み合わせることで、大きな成果を上げる従業員がオフィスのどこで過ごしているのか特定した。
同社はその分析結果を基に、本社「ITOKI DESIGN HOUSE TOKYO」のフロアを4年ぶりに刷新。6月11日に開催されたメディア向け内覧会では、設計や分析を担当した同社役員らがその全貌を紹介した。
データ分析で分かった、成果を出すためのオフィスの形
イトーキによれば、従来のオフィス設計では、従業員向けのアンケートで把握したニーズを基に設計し、「従業員満足度」の向上を目指していた。
今回はKPIを従業員満足度から「成果」へ転換。独自に設定した「能力発揮度」が高い、または大きく向上した従業員が過去1年間にどのスペースで働いていたかを位置情報から分析した。
能力発揮度は「能力をどれだけ発揮できたか」を0~10点で自己評価する指標だ。イトーキでデータ分析事業を担当する八木佳子氏(常務執行役員)によると、人事評価や営業成績と相関関係があることを定期的に検証しているという。
分析の結果、2023年にはディスプレイを備えた1人用席の利用者の能力発揮度が高かったのに対し、本格的にAI活用を始めた2025年には、他従業員と交流しやすいスペースの利用者の方が能力発揮度が高かった。
チームで積極的に同じ場所で働いた部署の能力発揮度は全社平均を上回り、人間関係やストレスの状態も良好だったという。
イトーキはこの現状を、好調な業績の裏で業務の量や難易度が上がったことで、1人で解決するのではなく、チームで相談しながら業務を進める従業員がより能力を発揮できたのでは、と分析している。
この結果を受け、新オフィスでは1人席のスペースを削り、6~16席をゾーン単位で予約できる「Team Co-work」ゾーンを複数配置。予約せずに利用できるオープンなスペースや、飲食可能なスペースも増やした。
今後もデータを見ながら家具の配置を変えられるよう、スペース間の仕切りは壁ではなくシェルフやソファで構成。大がかりな配線工事も配置換えの障害になるため、ディスプレイや電源設備はポータブルなものを貸し出す形にした。
オフィスデザインを統括した香山幸子氏(執行役員)は、設計期間は半年未満と通常より大幅に短く「(設計の根拠となる)データがあったおかげ」と説明した。
出社回帰で「席がない」問題はどうする?
イトーキ本社の在籍人数は2021年の850人から1300人へ約1.5倍に増え、1人当たり面積は8.5平方メートルから5.5平方メートルへ35%縮小、出社率は40%から70%へ上昇した。これによって、予約席や会議室を「使いたいときに使えない」状況も発生する可能性がある。
対策として、イトーキは家具に設置したセンサーで席やスペースが実際に利用されているかを追跡するシステムを実装。予約されているが実際には利用されていない席を検知すると、ユーザーに予約の取り消しを促す。
2026年2月発表のAIエージェント群「ITOKI OFFICE AI AGENTS」と連携させ、「30分後に3人で会議したい」と頼めばAIが空きスペースを探して確保するといった機能も試用中だ。
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