OpenAIの高度AIでソフトバンクの脆弱性を1万件発見 孫正義氏「大変な危機」 日本の重要インフラ企業へ診断サービス提供

 ソフトバンクグループは6月16日、米OpenAIの高度なAI技術を活用したサイバーセキュリティ対策サービス「Patching as a Service」を発表した。OpenAIのサイバーセキュリティに特化したAI「GPT-5.5 Cyber」などの技術とソフトバンクの運用ノウハウを組み合わせ、企業システムに疑似的に攻撃することで脆弱性を見つける。見つけた脆弱性に対し、修復方針の策定や実装の提案まで一気通貫で行うという。日本国内の重要インフラを支える一部の企業に対し優先的に提供する。

ソフトバンクグループの孫正義会長と米OpenAIのMark Chen CRO(ソフトバンクグループの発表会のYouTube配信より引用、以下同様)

 同日、ソフトバンクは都内で緊急の会見を実施。同社グループの会長兼社長執行役員の孫正義氏が登壇した。孫氏はAIによるサイバー攻撃を「黒船の襲来以来の日本の危機」と表現。OpenAIとの協業においていち早くGPT-5.5 Cyberを使える立場にあったため、先んじて自社システムの脆弱性を診断した。「われわれのシステムは月に5万回のアタックを受けても倒れないということで自信を持っていました」と孫氏。ところが、AIによる脆弱性診断の結果、1万500件の脆弱性が発見されたという。

AIによる脆弱性診断の結果、1万500件の脆弱性が発見され「私もびっくり」と孫氏

 「私もびっくりです。1万499件の穴を塞いでも、1つの穴をやられたら全滅する。これは大変な危機です」(孫氏)

 こうしたAIによるサイバー攻撃の危機が間近に迫っていると、ソフトバンクの宮川潤一社長が引き継いで解説。「ChatGPT-3が登場してから、それに近いオープンモデルが生み出されるまでにかかった期間が3年。画像生成では1年半。動画生成では10カ月。半分、半分と来ている。ではサイバー攻撃能力を持つフロンティアモデルに相当するオープンモデルが登場するのに何カ月かかるんだろう。この法則の通りで行くと5カ月かもしれない」(宮川氏)

フロンティアモデルと同等のオープンモデルが出るまでの期間は短くなり続けている、と宮川潤一社長は説明

 サイバーセキュリティ対策サービス「Patching as a Service」は、ソフトバンクとOpenAIのジョイントベンチャーであるSB OAI Japanを通じて提供する。同日の会見に参加した約130社は、2億行まで無料で診断を受けられるという。SB OAI Japanでは専門の技術者を現在時点で50人用意。今後、現地に出向して診断をできる技術者を1000人まで増やすという。

 OpenAIのサム・アルトマンCEOはビデオメッセージで登場。「サイバーセキュリティはこれからの高度なAIにおいて最も重要な活用分野の一つになる」としてサイバーセキュリティの重要性を訴えた上で、「日本はこの取り組みにおいて非常に重要な国です。日本の重要インフラ、金融機関、企業、そしてテクノロジー・エコシステムは、日本だけでなく世界全体にとっても大きな意味を持っています」と、ソフトバンクと共同で日本企業のサイバーセキュリティ対策を進めていくことの意義を話した。

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