OpenAI、AIサイバー攻撃への「集団的対応」を訴える公開書簡 Anthropic、Google、Microsoftなど100以上の組織が署名
米OpenAIは8月27日(現地時間)、AIを悪用したサイバー攻撃への備えを各国の産業界と政府に訴える公開書簡「A call for collective action on cyber defense」を公開した。Anthropic、Google、Microsoft、AWS、Oracle、Cisco Systems、CrowdStrike、Palo Alto Networksなど、AI、セキュリティ、クラウド、半導体、金融、製造にまたがる118の企業や団体が署名している(本稿執筆時点)。
書簡は「サイバー防御を強化するための時間は限られている」と冒頭で警告。今後数カ月のうちに、世界中のモデルの能力向上に伴ってAIを使ったサイバー攻撃がはるかに広範かつ高度になり、病院や浄水場、インターネットを支えるインフラなど、社会が依存する企業や公共サービスが危険にさらされると指摘した。一方で、現在のAIの進歩は、長年放置されてきた弱点を修正する新たな手段を防御側にも与えており、断固として行動すれば「防御側の好機」を生かしてデジタル環境を大幅に安全にできると主張している。
集団的対応の原則として書簡が挙げたのは次の3点だ。まず、現状維持のセキュリティでは不十分だと認識すること──古くからのバグ、過剰な権限、設定ミス、未更新のソフトウェア、脆弱な認証、レガシーシステムの技術的負債がシステムを露出させており、特に重要インフラのセキュリティチームは慢性的にリソース不足で、ツールと資源の増強が必要だとする。次に、より多くの防御側にサイバー対応可能なAIを行き渡らせること。3点目は、集団的対応を動員することだ──サイバー能力は世界的に向上しており、単一の企業が将来を支配すべきではないとして、国際的な連携を求めた。
その上で、取るべき行動を「すべての組織」「セキュリティ企業・技術パートナー」「政府」「フロンティアAI企業」の4主体に分けて提示した。すべての組織に対しては、サイバー防御を経営の最優先課題とし、AIが生成したコードも含めて調達・開発・運用のセキュリティ基準を引き上げるよう要求した。政府には、脅威情報を共有する官民チャネルの強化、予算のない公共サービスを優先したサイバー防御への資金拠出、病院や水道事業者、自治体への防御用AIの提供、そして攻撃者にコストを課すことを求めた。フロンティアAI企業に対しては、リソースの乏しい重要インフラの防御側への責任あるモデル提供や資金・研修の支援に加え、AIエージェントのIDを追跡・説明可能にする仕組みの構築を挙げている。ただし、具体的な投資額や期限などの数値目標は盛り込まれていない。
署名団体には、AI企業のほかにAdobe、AMD、Arm、IBM、SAP、Dell Technologies、General Motors、Deutsche Telekomなどの大手が並ぶ。VisaやMastercardなどの金融企業、Fortinet、Sophos、Check Point Software Technologiesなどのセキュリティ企業も名を連ねる。AI関連ではPerplexity、Hugging Face、Cognition、Lovable、Replitなどの新興企業も参加している。
"参加団体一覧(画像:OpenAI)"
一方で、Apple、Meta、NVIDIA、Palantir Technologies、Salesforce、xAI、Thinking Machines Lab、Mistral AIなどは署名リストに含まれていない。書簡のページには「Supporting organizations」(賛同組織)の欄も設けられており、今後署名が追加される可能性がある。
書簡の背景には、OpenAIが社内で評価していたAIエージェントが自律的に隔離環境を脱出し、Hugging Faceや自社インフラに侵入した7月のインシデントがある。
OpenAIのサム・アルトマンCEOは公開に合わせてXに投稿し、「AIによるサイバー防御にとって決定的に重要な局面であり、時間はあまり残されていない」と指摘。「当社と組んでもらってもいいし、競合やパートナーと組んでもらってもいい。ただ、この局面を真剣に受け止めてほしい」「緊急かつ強度の高い集団的な対応でなければ機能しない」と呼び掛けた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia AI+に関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Google「Gemini」新サービスで「Claude」利用可能に 他モデルも今後追加予定
-
2
AnthropicのAI、未解決殺人事件で警察に虚偽の情報提供 米政権は「通知と是正は義務」と警告
-
3
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
4
人間より「PC作業がうまい」AI機能がリリース OpenAI「Dots」が変えるデバイスの未来
-
5
人手不足だからAIを使いたい、でも導入できる人がいない 中小企業“一人情シス”の葛藤
-
6
ChatGPT、ついに音声ファイルに対応 文字起こしや要約などが可能に 有料ユーザー向け
-
7
Amazon、「Fire」に代わる新タブレット「Amazon Alexa Tablet」発表 「Amazonキッズタブレット」は日本でも発売へ
-
8
OpenAI、安全性研究者3人を解雇 本人らは「安全性を優先したため」と主張、同社は「機密情報の扱いに関する規定違反」と説明
-
9
“クールジャパン機構の二の舞”か? 2兆円支援のラピダス、2ナノ半導体工場あっても拭えぬ「顧客不在」の懸念
-
10
Anthropic、サイバー防御の新たな取り組み「Cyber Mission」 OSS向け無料脆弱性スキャンや重要インフラ防御プログラムも
SpecialPR
ITmedia AI+ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmedia AI+をフォロー
あなたにおすすめの記事PR