「オレンジ色のサメ」「白色のキーウィ」──こんな希少生物を紹介する科学情報サイト「ナゾロジー」が物議を醸している。記事自体は実際の論文や報告を扱っているものの、記事内やSNSにはイメージ画像としてAI画像を掲載しているからだ。なぜ記事内にAI画像を使うのか、同社に聞いた。
ナゾロジーは8月21日、「中米コスタリカ沖でオレンジ色のサメが見つかった」という内容の記事を公開。コスタリカのトルトゥゲーロ国立公園付近の海域をスポーツフィッシングしている際に見つかった魚で、コスタリカの観光案内所「Parismina Domus Dei」は2024年8月、実際に発見した魚の写真をFacebookに掲載している。この内容は論文にもなり、科学雑誌「Marine Biodiversity」に25年8月1日付で掲載された。
ナゾロジーの記事では、この論文を紹介しており、その記事タイトルには「【画像あり】」とも記載し、実際の写真があるかのように誘導している。しかし実際に見つかった魚の写真は載せず、画像生成AI「DALL・E」で作成したイメージ画像を注釈付きで掲載。また公式X(@NazologyInfo)にも同様の画像を掲載したが、こちらには透かしや注釈などを付けていない。
この投稿を巡って、Xユーザーからは「実際の写真もあるのにAI画像使うのなんなんだ」「これは本当に不可解」などと混乱する声の他、「本物と誤解させることを意図した記載はさすがにヤバい」「メディアとして致命的な行為」など批判する声も見られる。ナゾロジーのXの投稿には「サムネイルの画像はAIによる生成画像であり、撮影された写真ではありません」とコミュニティーノートによる注釈も付けられた(28日現在)。
この他の記事でも、ナゾロジーではAI画像をイメージ画像として掲載している。27日には、ナゾロジーは「白色のキーウィが撮影された」という記事を掲載。キーウィは本来、黒っぽい羽毛に包まれた鳥類の動物だが、ニュージーランドで白色の羽毛を持つキーウィの撮影に成功したという。しかしナゾロジーでは、実際に撮影された画像は載せず、またもや画像生成AIによるAI画像のみを掲載している。
ナゾロジーはなぜ、論文などで実際に掲載された写真ではなく、AIによるイメージ画像を載せているのか。運営企業のkusuguruに問い合わせたところ「当サイトでは実際の取材写真や一次画像を安易に転載するのではなく、AIによるイメージ画像を用いる場合がございます」とし、2つの理由を明かした。
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