ITmedia NEWS > 社会とIT >
ITmedia AI+ AI活用のいまが分かる

女性声優の“存在しない”水着画像をAIで作成、販売……法的に問題ないの? 弁護士に聞いた(1/2 ページ)

» 2023年06月12日 19時11分 公開
[松浦立樹ITmedia]

 水着やバニーガールの格好をした、女性声優や女優に極めて似た人物──。そんな写真がTwitterや一部のWebサービスにアップロードされている。しかし、これは架空の画像だ。しかも、そのような架空の画像を自動生成できるAIモデルを販売しているサイトもある。

あるWebサイト上に掲載された水着画像。ある女性声優の顔に極めて似ているが、実際にこうして水着を着たとは考えにくいことから顔に処理を施した

 作成に使われたり販売されているのは、2022年夏ごろから爆発的に話題になった画像生成AI。その中でも、AIモデルに数枚の写真を追加的に学習させることで画像を特定の絵柄に寄せる技術「LoRA」を使っているようだ。

サイト上の表記からも声優の花澤香菜さんを描いたと思われる画像。画像検索をしても掲載サイト以外に同様の撮影があった様子は見当たらない
広瀬すずさんなど女優を模したと思われる商品もサイト上で確認できた

 こうした技術で作った画像集を販売しているページもある。「全ての画像はAIが生成した架空のもので、実在の人物や関係者に似ているのは単なる偶然にすぎない」との記載はあるが……。

 このような著名人を模したAI画像や、それを生成できるAIモデルなどの売買について、法的にはどのように考えるべきなのか。AI領域の法律に詳しい柿沼太一弁護士に見解を聞いた。

問題となるのは主として「パブリシティ権」

 柿沼弁護士は「今回のケースで主として問題となるのは女優などのパブリシティ権」とし「日本ではパブリシティ権に関する法律上の規定はないが、判例上認められている。最高裁判所は『ある人の氏名、肖像等が有する顧客吸引力を排他的に利用する権利』をパブリシティ権と認め『専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる行為』についてはパブリシティ権侵害に該当するとした」と話す。

文化庁の公開資料におけるパブリシティ権の説明

 最高裁が示した具体的なパブリシティ権の侵害パターンは3つあり、「(1)肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し、(2)商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付し、(3)肖像等を商品等の広告として使用する」の3類型が挙げられるという。

 また、パブリシティ権以外の権利侵害として「女優の顔部分を裸体と組み合わせたような画像の販売はパブリシティ権侵害に加えて名誉毀損等になる可能性が高い」とも指摘している。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.