俳優や声優の権利保護活動などを行う日本俳優連合(日俳連)は11月21日、AI音声サービス「にじボイス」に出した一部音声の削除要請を巡り、「声が酷似している」と判断した基準などを聞くITmedia AI+の質問に対して「回答を差し控える」とした。日俳連は、にじボイスの一部音声が組合員の声に酷似しているとして、2度にわたりボイスの削除を要請。これを受け、にじボイスの開発元であるAlgomatic(東京都港区)は同サービスの終了を発表していた。
日俳連は7日、にじボイスに対して、組合員の声に酷似していることを理由に33件のボイスの削除を要請した。これを受け、Algomaticは「法的な権利侵害は確認されなかった」とする一方、「声の権利を尊重するプラットフォームとして、関係者に懸念を生じさせること自体が本意ではない」として、自主的に音声を取り下げた。しかし日俳連は19日にも、同サービスに対して追加で20件分の削除要請を出していた。
ITmedia AI+は21日午前11時ごろまでに、日俳連に対して2度の削除要請に関してメールで問い合わせていた。声が酷似していると判断した基準や、削除要請を2回に分けた理由、Algomatic側の「法的な権利侵害は確認されなかった」との主張に対する見解などを聞いていた。
その後、Algomaticは同日午後4時ごろまでに、にじボイスを2026年2月4日に終了すると発表した。2度目の削除要請があった音声でも「法的な権利侵害はなかった」と説明。一方、にじボイスを終了する理由については、日俳連から削除要請を受けている状況と「AIと人とが、ぶつかりあうのではなく、より良い世界をつくるために、会社を経営する」というAlgomaticの理念に齟齬(そご)が生じたためとしていた。
一方、日俳連は同日午後6時ごろまでに、ITmedia AI+のメールでの問い合わせに対して「先方の発信内容を確認中。ついては、質問への回答は差し控える」と返答した。
ITmedia AI+は、日俳連に対し、Algomatic側への確認が完了した後に質問への回答が可能か、にじボイスのサービス終了に関して正式に声明を出す予定があるか聞いている。返答があり次第追記する。
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