AI戦国時代、日本企業はどう動く?――国産LLM&AI半導体を開発中のPFN・岡野原代表のシナリオ(3/3 ページ)
オンラインイベント「ITmedia AI+ Boost」で、Preferred Networks(PFN)の代表取締役 最高研究責任者である岡野原大輔さんが基調講演を行った。ChatGPTやClaudeなどが世界をリードする中でも、国産AIの存在感を高める方策を示した。
生成AI専用半導体「MN-Core L1000」も開発中
AIの性能を生かしきるには、それに最適化したハードウェアが欠かせない。PFNは16年からAI専用チップ「MN-Core」の研究を続け、初代MN-Coreは20年から社内利用してきた。MN-Core 2は24年に一般販売を開始している。
さらに同社は26年の提供開始を目標に、生成AI専用半導体「MN-Core L1000」を開発している。
最新のMN-Core L1000では、新しい3次元積層メモリを採用してメモリ容量と帯域を大幅に拡張し、発熱を抑えながら高速処理を実現する設計になっている。目標はワークステーションサイズのコンピュータで70B以上のモデルを10倍速で動かすことだ。大規模データセンターに頼らずとも、手元のマシンでハイレベルな生成AIを走らせられる可能性がある。
またMN-Core L1000は「推論スケーリング則」を意識した構造にもなっているという。これは、AIにより多くの「考える時間」を与えるほど性能が向上する特性(=推論スケーリング則)を最大限引き出すための設計だ。
PFNはラピダスやさくらインターネットと連携し、国産のAIインフラを構築するビジョンを掲げている。
「27年には、現行性能を1000分の1のコストで提供したい」
PFNのユニークな点は、半導体からAIモデル、それを活用する業務ソリューションまでを一貫して手掛ける垂直統合戦略にある。世界的に見ても珍しいアプローチで「技術をレイヤーごとに切り離さず、全体を俯瞰しながら最適化できるのが強みだ」と岡野原さんは語る。
医療や金融、製造などの専門領域にも注力しており「PreferredAI」というブランド名で、AI面接・採用支援の「Talent Scouter」や文書分析の「Insight Scan」、自動文書生成の「Notes」などを提供している。27年末までには「現行性能を1000分の1のコストで実現する」という壮大な目標も掲げる。
一方、AIの活用が進むにつれ、働き方や仕事の満足度に影響が出る可能性を指摘する声もある。米国では、AIを活用する研究者の生産性が44%上がった一方、創造的な業務が減って仕事への満足度が下がるという調査結果もある。
岡野原さんは「AIは誰でも使えるようになる。AIに丸投げするではなく、人間や組織も協調し、共進化することが重要になる」と締めくくった。
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